Samsung ElectronicsとSK hynixの急落が、ビットコイン市場でも新たな警戒材料として浮上している。足元のビットコインは暗号資産固有の材料よりもAI関連のテクノロジー株との連動性が強まっており、韓国の半導体大手2社の株安が、世界のリスク資産市場のセンチメントを冷やす可能性があるとの見方が出ている。
ブロックチェーンメディアのCryptopolitanによると、7月29日、Samsung ElectronicsとSK hynixの株価急落を受けてKOSPIは約3カ月ぶりの安値水準まで下落した。市場ではこれを、リスク資産全般の地合い悪化を示す兆候としてビットコイン投資家も注視しているという。
発端は7月28日のソウル市場だった。Samsung ElectronicsとSK hynixは同日、ともに10%を超えて下落し、KOSPIの下げを主導した。
その後、米国上場のSK hynix株も約9%下落。Nasdaq 100指数も2%近く下げ、売りはグローバルなテクノロジー株全体に広がった。
市場が注目するのは、最近のビットコインが暗号資産独自の材料よりもAI関連銘柄と密接に連動している点だ。Samsung ElectronicsとSK hynixは、AIデータセンターの整備に不可欠な高帯域幅メモリ(HBM)をはじめ、メモリ半導体サプライチェーンの中核を担う企業とみなされている。
両社への投資心理が冷え込めば、AI投資期待の後退シグナルとして受け止められ、リスク資産全体の配分引き下げにつながる可能性があるとの見方もある。
市場の警戒感をさらに強めたのは、好決算発表後も株価下落が止まらなかったことだ。SK hynixは第2四半期の純利益が前年同期比1242%増の94兆ウォンとなり、過去最高を更新したと発表した。
営業利益は557%増の60兆ウォン、売上高は79兆ウォンだった。一方で、フラッシュメモリ企業Kioxiaの持ち分売却に伴う一時利益が業績に反映された点も影響したとされる。
それでも株価が反応しなかったことは、市場で重く受け止められている。SK hynix株は決算発表前からすでに14%下落しており、直近1カ月ではSamsung Electronicsが約33%、SK hynixが約41%下げた。
Samsung Electronicsは31日に第2四半期決算を発表する予定だ。市場では営業利益が前年同期比で約1800%増になるとの予想があるが、業績改善にもかかわらず株価の弱さが続けば、投資家が足元の実績より将来の成長性やAI投資の減速を強く懸念しているサインと受け止められる可能性がある。
市場では、メモリ需要そのものよりもAI投資の持続可能性に対する疑念が強まっているとの見方がある。新規AIデータセンター建設に必要な巨額資金の調達負担が増しているほか、中国半導体企業の追い上げも重荷になっているという。
中国では深紫外(DUV)露光装置の国産化が本格化している。メモリ企業のCXMTも、上海市場への上場後に売上高が466%増加するなど、競争力を急速に高めているとされる。
さらに、NVIDIAが進める2500億ドル規模のオハイオAIデータセンタープロジェクトも、AI投資過熱論を再燃させた。JPモルガンのジョシュア・マイヤーズ専務は「根本的に説明できるものはなさそうだ」と指摘し、足元の市場は企業のファンダメンタルズよりも投資心理の変化に敏感だと分析した。
リスク回避の動きが広がれば、ビットコインも影響を受ける可能性が高い。最近は大量のビットコインを保有する企業の株価も同時に揺れるなど、ビットコインとテクノロジー株の連動性が一段と強まる兆しも出ている。
一方で、強気の見方も残る。KB証券の担当者は、メモリ供給不足が2028年まで続く可能性を織り込み、第3四半期のメモリ半導体価格が少なくとも30%上昇すると予測した。
SKグループも、NVIDIAと5000億ドル(約75兆円)規模の共同プロジェクトを推進中だと明らかにしており、AI投資拡大への期待を下支えした。
市場では、今週公表される主要企業の決算が投資家心理を左右する最大の変数になるとみられている。Samsung Electronicsに続き、Microsoft、Meta Platforms、Amazonが相次いで決算を発表する予定で、AI投資への期待が維持されるのか、それともリスク回避が一段と広がるのかが、ビットコインの先行きにも影響しそうだ。