ビットコインと量子コンピューターのイメージ画像=Reve AI

AT&Tは28日、D-Wave Quantumとの提携拡大を通じて、量子アニーリング技術を自社のネットワーク最適化業務に活用すると発表した。従来は約1時間を要していた複雑な処理を15秒まで短縮できたとしており、量子コンピューティングの実運用が本格化しつつあることを示す内容となった。一方で暗号資産市場では、量子計算がブロックチェーンの安全性に及ぼす影響への警戒感も強まっている。

ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、AT&TはD-Wave Quantumとの契約を拡大し、同社の量子アニーリング技術を複雑なネットワーク最適化アルゴリズムに組み込んだ。

AT&Tによれば、この取り組みにより、これまで1時間かかっていた複雑なネットワーク関連作業を15秒で処理できるようになった。量子コンピューティングが概念実証にとどまらず、実際の業務運用に入り始めていることを示す事例といえる。

この報道を受け、D-Wave Quantumの株価はプレマーケット取引で一時18.10ドルを上回った。

同じ時間帯の暗号資産市場は軟調に推移した。ビットコインは6万3000ドル近辺まで下落し、トレーダーのポジションでは1億ドル規模の強制清算が発生した。

下落の背景としては、KOSPI指数の下落や半導体株安に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)の会合を巡る思惑など、外部環境の影響が指摘された。

ただ、市場の関心は値動きだけにとどまっていない。セキュリティ面では、量子コンピューティングが暗号資産に及ぼす潜在的な脅威にも注目が集まっている。Quantum Exchangeの最高経営責任者(CEO)、エディ・ジャービガン氏は、暗号資産について、量子脅威を最も早く映し出す「炭鉱のカナリア」だと指摘した。

同氏は、分散型構造を持つブロックチェーンプロトコルが、量子コンピューティングによる攻撃の初期の標的になり得ると警告している。

いわゆる「Qデー」が想定より早く到来する可能性を指摘する見方もある。Googleの研究チームは、ビットコインの暗号を破るのに必要な計算能力の推定値を従来の20分の1に引き下げ、50万未満の物理量子ビットで可能になる可能性があるとの見方を示した。

また、米エネルギー省は、今後3年以内に強力な量子コンピューターが構築されると予想した。IBMとMicrosoftも、2029年までに暗号体系へ実質的な影響を及ぼし得るシステムの登場を視野に入れるべきだとの見方を示している。

量子コンピューティングの商用化が前倒しで進む一方、暗号セキュリティ上の脅威も現実味を増している。AT&Tの事例は、量子技術が企業の中核業務に入り始めたことを示すものだ。同時にブロックチェーン業界では、性能競争よりも、耐量子暗号への移行準備が現実的な課題として浮上している。

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