Teslaの人型ロボット「Optimus」を巡り、イーロン・マスク氏は、技術開発だけでなく、サプライチェーンの構築や量産体制の整備も並行して進める必要があるとの認識を示した。
米Business Insiderが23日(現地時間)に報じた。マスク氏はTeslaの2026年4〜6月期決算説明会のコンファレンスコールで、Optimusについて「極めて複雑な問題」であり、「まだ誰も成し遂げていない」と述べた。
マスク氏は、Optimusが長期的にはTesla最大の製品になり得るとの見方を示す一方、商用化までにはなお多くの障壁があると指摘した。人のように歩行し、会話し、判断できる水準を目指すには、手先の器用さに加え、信頼性、耐久性、安全性のすべてを満たす必要があるという。
なかでも中核的な課題として挙げたのが、手の機能の実現だ。人間と少なくとも同等の器用さが求められる一方で、人の手は驚異的な構造を備えていると説明。単に動くロボットアームを作るのではなく、人の手に近い精密な操作能力を再現する必要があると強調した。
部品調達体制の構築も課題に挙げた。Optimus向けのサプライチェーンは既存のものがなく、Teslaがゼロから整備する必要があったという。この過程で一部の部品は内製していることも明らかにした。十分なAIチップの確保に加え、メモリ、ロジック、パッケージングの課題も解決しなければならないと説明した。
量産化のハードルはさらに高いとの見方も示した。Optimusは、Teslaがこれまで手掛けてきた製品の中でも、最も生産規模の拡大が難しい製品になる可能性があるという。ロボット内部のあらゆる要素が新しいため、短期間で生産量を引き上げるのは容易ではないとした。
マスク氏は市場の期待にも言及した。過度に楽観的な見通しを示すのではなく、現実的な開発ペースを示す姿勢をにじませた。強気のスケジュールを示すことで知られる同氏としては、今回は開発の難しさを前面に押し出した格好だ。
Teslaは昨年も、Optimusについて、モーターやギアボックス、制御装置、センサー設計に加え、学習体系まで新たに整備する必要があると説明していた。当時、マスク氏は「5年以内に月産10万台が可能でなければ驚く」と述べていたが、今回の発言では生産拡大により慎重な姿勢を示した。
決算資料の表現にも変化がみられた。前四半期の資料では、Optimusの大量生産計画を説明する際に「ボリューム」や「マス」生産といった表現が使われていたが、今回は盛り込まれなかった。生産スケジュールや拡大ペースを巡り、表現のトーンを調整した可能性がある。
Optimusの進捗は、マスク氏個人の報酬体系とも連動している。報酬契約の価値をすべて実現するには、今後10年以内にOptimusを100万台引き渡すというマイルストーンの達成が必要だという。OptimusはTeslaの将来事業であると同時に、製品化と量産能力の立証が問われるプロジェクトとして位置付けられている。