DeepSeek創業者のリャン・ウェンフォン氏(写真=Shutterstock)

中国のAIスタートアップDeepSeekの創業者、リャン・ウェンフォン氏が、中国AI業界の最大の弱点とされてきたNVIDIA製ハードウェアへの依存について、転機を迎えつつあるとの見方を示した。今後1年以内に、チップ供給制約がAI競争力を左右する主な障害ではなくなる可能性があるという。

7月23日付のCryptopolitanによると、リャン氏は投資家向け会合で「供給問題は1年以内に障害ではなくなる」と述べ、中国AI業界のハードウェア自立に言及した。ただ、この発言は会合の議事録に基づくもので、DeepSeekやリャン氏による公式確認はされていない。

リャン氏は、中国と米国のAI競争力の差について、根底には計算資源の格差があると分析した。人材やモデル性能、応用サービスの差も、最終的には計算資源の差に行き着くという。中国企業は米国の輸出規制によってNVIDIAの先端AIチップを十分に確保できておらず、AI投資規模や研究人材への資金投入でも米国に後れを取っていると説明した。

モデル規模の差にも触れた。西側の最先端AIモデルが約8000億のアクティブパラメータ数を用いる一方、中国の最上位モデルは数百億規模にとどまるとした。ただ、DeepSeekについては米国の先行企業に12〜18カ月遅れているものの、計算資源は約20分の1で同等の性能を実現していると評価した。今後はこの差を3〜6カ月まで縮めることを目標に掲げる。

実現に向けて、DeepSeekはHuaweiとの連携を強めている。HuaweiのAIチップ「Ascend 950」を約1万6000個確保し、自社モデルの最適化を進めているとされる。リャン氏は「Ascend 950 Supernode」について、性能と価格の両面でNVIDIAのGB200、GB300システムと競合可能だと評価した。

ハードウェア活用にとどまらず、独自AIチップの開発にも着手したもようだ。事情に詳しい関係者によると、同社は推論専用チップを設計中で、商用化されればNVIDIAとHuaweiの双方と競合する可能性がある。

ソフトウェア面での独立も模索する。DeepSeekと中国の研究チームは、NVIDIAの開発基盤であるCUDAへの依存を引き下げるため、独自の「Tile Language」を開発している。リャン氏は、「中国製AIチップは使いにくい」とする業界内の見方も、1年以内に大きく変わる可能性があるとみている。

実際、中国のAI半導体市場には変化の兆しが出ている。NVIDIAの中国AIアクセラレータ市場におけるシェアが低下する一方、中国のAIチップメーカーは昨年、41%の市場シェアを獲得し、AIアクセラレータカードを約165万枚出荷したとされる。

Alibabaも独自AIプロセッサ「Zhenyu」を大規模に導入し、関連ソフトウェアスタックをオープンソースとして公開した。HuaweiやMoore Threadsも、CUDA代替を視野に入れたソフトウェアエコシステムの構築を進めている。中国政府も米国のAI輸出規制への対応策として、国産AI半導体とソフトウェアエコシステムの育成を積極的に支援している。

こうした中、Huaweiは最近、上海世界AIコンファレンスでAscendチップ8192個を接続した「Atlas 950 Superpod」を公開した。Huaweiは同システムについて、NVIDIA NVL144比で最大6.7倍の計算性能を持ち、米国製部品を使わずに構築したと主張している。

中国のAI企業は、単なるNVIDIA依存の低減を超え、自前の半導体とソフトウェアエコシステムを基盤とする独自インフラの構築を急いでいる。こうした取り組みが実際の商用競争力につながるかが、今後の焦点となる。

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