写真=BMW。BMWは米スパータンバーグ工場でEV「iX5」の量産を開始する。

BMWは、米サウスカロライナ州のスパータンバーグ工場で、純電動SUV「iX5」の生産を2027年初めに始める。BMWがドイツ国外でEVを生産するのは初めてで、米国を電動化生産の中核拠点とする戦略が本格化する。

CleanTechnicaが1日付で報じたところによると、BMWは次期X5ラインアップに純電動のiX5を加え、2027年1〜3月期から同工場で量産を始める計画だ。

今回の取り組みは、BMWの「Technology Open」戦略を示す事例の一つといえる。新型X5は、内燃機関車に加え、48Vマイルドハイブリッド、プラグインハイブリッド(PHEV)、バッテリーEV(BEV)、将来的には燃料電池車(FCEV)まで、最大5種類のパワートレインで展開する。市場や地域ごとの需要変化に応じて、生産比率を柔軟に調整できる設計が特徴だ。

スパータンバーグ工場は、BMWのグローバル生産を支える中核拠点の一つだ。1994年の稼働以来、累計730万台超を生産した。2025年にはXシリーズを41万2799台生産し、このうち約半数を約120カ国に輸出した。BMWによると、米国からの累計輸出台数は約300万台、累計輸出額は1130億ドル(約16兆9500億円)を超える。

BMWは米国内での投資も拡大している。スパータンバーグ工場の近代化と電池生産設備の整備に約17億ドル(約2550億円)を投じた。米国内の約400社に及ぶサプライチェーンと約30カ所の事業拠点を基盤に、約12万件の雇用を支え、年間433億ドル(約6兆4950億円)超の経済効果を生み出していると説明している。

電池サプライチェーンの現地化も進める。近隣のウッドラフに新設した電池工場では、次世代の円筒形セルを使った電池パックを生産する予定だ。セルをモジュール化せず直接パック化する「Cell-to-Pack」方式を採用し、工程の簡素化と製造コストの低減を図る。

生産技術の高度化にも取り組む。BMWは両工場に「iFactory」コンセプトを導入し、デジタルツインと3D仮想シミュレーションを生産ラインに適用した。AIベースの品質管理プラットフォーム「AIQX」により、センサーやカメラのデータをリアルタイムで解析し、異常を即時に検知できるようにしている。

ヒューマノイドロボットの活用も進める。スパータンバーグ工場ではFigure AIのヒューマノイドロボットを投入し、反復作業や身体的負荷の大きい工程を担わせる。作業者はより精密な工程に集中できるよう、役割を分担するという。

BMWは新型X5を10月から内燃機関モデルを皮切りに順次投入し、2027年1〜3月期にはPHEVと純電動のiX5を市場投入する計画だ。その後、高性能のMパフォーマンスモデルと燃料電池モデル「iX5 Hydrogen」も追加し、ラインアップを拡充する。

iX5の米国生産は、BMWの電動化戦略の節目となりそうだ。EV市場の成長がやや鈍化するなかでも、内燃機関モデル、ハイブリッド車、EV、水素車を単一の生産体制で柔軟に展開し、市場変化に対応する狙いがある。米国工場がBMWのグローバル電動化ハブとして定着するかが注目される。

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