AMDがRadeonグラフィックカード向けメモリキットを早ければ7月にも約10%値上げするとの観測が浮上した。グラフィックスメモリの供給逼迫を受けた部材価格の上昇が背景にあり、AIB各社のコスト増を通じて、グラフィックカードやゲーミングPCの店頭価格に波及する可能性がある。
米TechRadarは1日、AMDがRadeon GPU向けグラフィックスメモリキットの価格引き上げを検討していると報じた。
発端となったのは、中国のハードウェアコミュニティ「Board Channels」への投稿をVideoCardzが取り上げたことだ。投稿では、AMDがRadeon向けメモリキットの値上げを計画しており、SapphireやASUSなどのAIBパートナーが上昇分を負担する可能性があるとされた。こうしたコスト増が、最終的に消費者向け価格へ転嫁されるとの見方も出ている。
値上げ観測の背景には、グラフィックスメモリの需給逼迫がある。投稿によれば、グラフィックスメモリチップの世界的な供給は引き続きタイトで、市場価格も上昇が続いている。これによりGPUの製造コストが押し上げられ、グラフィックカード全体の価格にも影響する可能性がある。AMDは現時点で、この件について公式に確認していない。
業界では、影響がAMDにとどまらないとの見方も出ている。足元のメモリ価格上昇はPCハードウェア市場全体で見られる動きで、グラフィックカードを含む各種部材の価格形成に影響を及ぼしているためだ。
GPU市場では、すでに価格の高止まりが続いている。NVIDIAのRTXシリーズは高価格帯でも、DLSSによるアップスケーリングやレイトレーシング性能を背景に需要を維持している。一方、AMDのRadeon製品についても、従来ほどの割安感は薄れているとの見方がある。
こうした状況でメモリ価格の上昇が重なれば、消費者のアップグレード負担はさらに重くなりかねない。TechRadarは、AMDの値上げが現時点で確定したわけではないとしつつ、GPU購入を検討している消費者は今後の価格動向を注視する必要があると伝えた。
一方で、完成品PCは相対的に競争力を高める可能性がある。現在、一部の販売事業者は独立記念日のセールなどを通じて、ゲーミングPCの値引き販売を進めている。例えばBest Buyでは、iBUYPOWERのゲーミングPC「Slate Intel Arc B570」を899.99ドル(約13万5000円)で販売している。
この製品はDDR5メモリ16GBとIntel Arc B570 GPUを搭載し、1080pおよび1440pでのゲームプレイに対応できる構成とされる。Intelのアップスケーリング技術「XeSS」も改善が続いており、GPU単体の価格上昇が続く場合には、完成品PCが相対的に魅力を増す可能性があるとの分析も出ている。
業界関係者の間では、最大の焦点はAMDの値上げそのものより、グラフィックスメモリの供給不足がどこまで長期化するかにあるとの見方が強い。
供給難が続けば、AMDに限らずNVIDIAを含むグラフィックカード市場全体の価格上昇につながる可能性がある。消費者としては、AMDの公式発表に加え、主要流通チャネルでの価格変動も併せて見極める必要がありそうだ。