MetaMaskは、ステーブルコイン「mUSD」を預け入れることで最大4%の変動APYを得られる新サービス「Money Account」を開始した。預けた資産に利回りを付与しつつ、必要に応じてカードで支払いに使えるのが特徴だ。カード決済機能はMonadブロックチェーン上で提供する。
Cointelegraphが6月30日(現地時間)に報じたところによると、同サービスはConsensysが開発するノンカストディアルウォレット「MetaMask」の新機能として提供する。対象地域のユーザーは、適格なステーブルコインを預け入れることで最大4%の変動APYを受け取れる。
ConsensysのCEO、ジョー・ルービン氏は、資金を入れた直後から残高に収益が付き、必要な時にすぐ支出できる点を訴求した。MetaMaskは、預け入れと決済を単一アカウントでつなぐ設計を打ち出している。
一方、利回りの仕組みはステーブルコイン発行体が支払う利息とは異なる。MetaMaskのプロダクト担当シニアディレクター、ヨハン・ボーンマン氏によると、ユーザーへの収益はDeFi(分散型金融)のレンディング戦略によって生み出される。mUSDの準備資産の裏付け構造と、利用者が受け取る利回りは切り分けられており、収益の原資は発行体ではなくDeFiプロトコル側の運用益だという。
その構造は2段階になっている。まず、Stripe関連会社のBridgeが、mUSDを1対1で裏付ける米ドル準備金と短期国債を保有する。この段階では、発行体が保有者に別途利回りを支払うわけではない。
次に、ユーザーがMoney Accountに資金を入れると、オンチェーン運用基盤を手がけるVedaが資金を受け取り、AaveやMorphoなどのレンディングプロトコルに配分する。こうしたDeFi運用による収益が、ユーザーへの利回り原資となる。
この仕組みは、米国で進む利回り型ステーブルコインを巡る規制議論とも重なる。米国では、決済用ステーブルコインの保有者に対する利息や収益分配を制限する内容を含む「Clarity」法案を巡る議論が続いている。MetaMaskは、発行体による利払いではなくDeFi運用益を採用することで、両者のメカニズムを分離した格好だ。
提供地域には制限もある。MetaMaskはMoney Accountを世界各地に順次展開する方針だが、英国および欧州連合(EU)加盟国、制裁対象地域は対象外とする。ノンカストディアルウォレット自体では本人確認(KYC)を求めない一方、法定通貨の入金やMetaMaskカード機能など、規制対象サービスに接続する機能では第三者プロバイダーが確認手続きを担う。
ボーンマン氏は、Money AccountそのものはKYCなしでmUSDを保有し、ワンクリックで収益を得られる設計だと説明した。
今回の投入は、MetaMaskが2025年9月にウォレット内蔵型ステーブルコインmUSDを正式ローンチしてから1年足らずで実施したものだ。CoinGeckoによると、mUSDの時価総額はローンチ直後に一時1億ドル(約150億円)を超えたが、その後は3000万ドル(約45億円)を下回った。足元では3200万ドル(約48億円)前後で推移しているという。
MetaMaskはMoney Accountを通じて、mUSDの用途を単なる保有から、預け入れや決済へと広げたい考えだ。ただ、提供地域が限られるうえ、カード利用もMonadブロックチェーンに限定されるため、普及の行方は対応地域の拡大とDeFi利回りへの需要がカギとなりそうだ。