画像=GlassnodeのXより

暗号資産分析企業のGlassnodeは29日、デジタル資産と伝統金融の接点拡大をテーマにしたレポート「Diversification Beyond Digital Assets」を公表した。ビットコイン(BTC)では保有者の入れ替わりが過去最大規模に達している一方、投資資金は市場から流出せず待機しており、プライベートバンクにとって新たな商機になり得ると分析した。

レポートによると、2025年下期以降に続くBTC保有者の交代は、オンチェーンデータに明確に表れている。2025年の価格上昇局面では長期保有者が売却に動き、その供給を新規の市場参加者が吸収した。こうした供給移転の規模は過去最大級で、2026年1〜3月期の調整局面ではその傾向が一段と鮮明になったという。

一方、暗号資産とステーブルコインのデータからは、資金が市場から離れず待機している状況が確認できるとした。初期投資家が利益確定を進める一方で、機関投資家や企業など伝統的な投資家層が新たな買い手として台頭しており、資金循環は成熟局面に入りつつあると説明した。

■ プライベートバンクに構造的な商機

Glassnodeは、こうした保有者の入れ替わりの時期が、プライベートバンク(富裕層向け資産管理を担う金融機関)がデジタル資産への関与を本格化させ始めた局面と重なる点に注目した。すでに利益確定を終えた富裕層も暗号資産投資から完全に離れたわけではなく、株式や債券を含む分散投資や流動性管理を求めているとして、プライベートバンクや資産運用会社にとって構造的な商機になると評価した。

さらに、金融機関が暗号資産ネイティブの顧客をより積極的に受け入れれば、新規資金がデジタル資産市場に再流入する可能性があると指摘した。長期保有者による記録的な売りを吸収してきた機関投資家や企業の需要基盤も、さらに強まるとの見方を示した。

■ 受け入れ体制なお課題

もっとも、プライベートバンクが暗号資産保有者を幅広く受け入れるには、実務面の課題が残る。デジタル資産と銀行システムの間で資産を効率的に移すには、透明性が高く監査可能な資産履歴を確保できるかが重要になるが、既存のプライベートバンクのシステムは、パブリックブロックチェーン上に取引履歴を持つ顧客を前提に設計されていないという。

そのため、適法な暗号資産保有者であっても、資産の出所確認の過程で追加書類の提出や手続きの遅延といった摩擦に直面しているとした。

Glassnodeは、こうした問題への対応策として、2023年にコンプライアンスと投資家オンボーディングを手がけるCenseをスピンアウトで設立したと説明した。Censeは現在、デジタル資産保有者と大手リテール銀行、プライベートバンクをつなぐ独立系の暗号資産インテリジェンス企業として活動している。

Censeの最高商務責任者(CCO)、ミヒル・ホーヘンボーム氏は、「市場のボラティリティは今後も続くが、先回りして備えることの構造的優位性は変わらない」とコメントした。さらに、「透明性の高い暗号資産対応体制の構築に今投資する企業こそ、市場が再加速する局面で最も有利な位置に立つ」と述べた。

同氏は、オランダの大手プライベートバンクVan Lanschot Kempenなど、欧州の一部銀行はすでにこうした取り組みを進めているとも付け加えた。

Glassnodeは、今後数年にわたり、暗号資産と伝統金融は競争より融合に向かう公算が大きいと結論付けた。富裕層は暗号資産、株式、債券、現金の間で資産を振り分け、機関投資家や企業も両市場をまたいで柔軟に資金を移動させる構造が形成されるとの見通しを示した。

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