国富ファンドなど機関マネーへの注目が高まっている。写真=Reve AI

UAEの暗号資産取引プラットフォームMidChainsのバシル・アル・アスカリCEOは、少なくとも1つの国富ファンドがビットコイン現物を買い増しているとの見方を示した。個人投資家の参加が鈍る一方で、機関投資家や企業は足元の価格水準を長期投資の好機と捉えているという。

Cointelegraphが30日(現地時間)に報じた。アル・アスカリ氏は同メディアのポッドキャストで、現在すでに1つの国富ファンドによる買いが進んでおり、今後数週間で最大2つ確認される可能性があると語った。

同氏は、市場では個人投資家の動きが鈍化している一方、機関投資家や企業の資金は逆に流入していると説明した。「少なくとも1つの国富ファンドがビットコイン現物を積み増している。数週間以内に2つ確認できる可能性がある」と述べた。

国富ファンドは、国家が保有する資産を運用する政府系投資基金を指す。Cointelegraphは、世界の国富ファンドの運用資産が13兆ドルを超えることから、仮に本格参入が確認されれば市場への示唆は大きいとみている。

アル・アスカリ氏が率いるMidChainsは、アブダビを拠点とする規制下の暗号資産取引プラットフォームだ。同氏は、現在の価格帯について、大手機関投資家にとって事実上の長期エントリー水準として受け止められていると説明した。時間をかけて買い進められる大口投資家は、足元の調整局面をむしろ買い増しの機会とみているという。

一方で、国富ファンドの買いが短期的にビットコイン価格の急騰に直結するわけではないとの見方も示した。そのうえで、国富ファンドの参入自体が他の機関投資家に強いシグナルを与える可能性があると強調した。ほかの投資家が国富ファンドの動きを先行シグナルとして捉え、ビットコイン市場への参入手法を探る可能性があるとしている。

中東の国富資金によるビットコイン投資は、すでに事例がある。アブダビの国富ファンドMubadala Investment Companyは昨年2月、BlackRockの現物ビットコインETF「iShares Bitcoin Trust(IBIT)」を通じて約4億3700万ドルを投資した。ブータンのDruk Holding & Investment(DHI)も、ビットコインを直接保有する国富ファンドに類する投資機関として知られるが、今年に入って保有分の一部を売却したと伝えられている。

機関投資家の買い姿勢も続いている。Coinbaseで機関投資家向け戦略を担当するジョン・ダゴスティーノ氏は今月初め、CNBCのインタビューで、UAEのファミリーオフィスや政府、国富ファンドが現在の水準を割安な買い場とみて、ビットコイン投資の拡大を検討していると明らかにした。

市場では資金フローの方向感が分かれている。米国の現物ビットコインETFからは今月に入って累計41億ドル超が流出した。一方、企業によるビットコイン購入は続いている。世界最大の企業ビットコイン保有企業であるStrategyは、今月だけで3657BTCを追加取得した。

業界では、現物ビットコインETFからの資金流出と、機関投資家・企業による買い増しが同時に進む局面との見方が出ている。国富ファンドによる現物ビットコインの本格的な買い増しが確認されれば、短期的な価格変動とは別に、機関投資マネーの裾野拡大を示すシグナルになり得る。

今後の焦点は、国富ファンドによる追加の買い増しが確認されるかどうか、さらにそれをきっかけに他の大手機関投資家の資金流入が続くかどうかに移っている。

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