Bitcoin(ビットコイン)が、2008年の世界金融危機と大規模な銀行救済に対する問題意識の中から生まれた――。そうした見方を改めて整理した分析を、ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineが29日(現地時間)に公開した。
分析では、2007〜2009年の金融危機と各国の金融緩和策が、既存の通貨システムの脆弱さを浮き彫りにしたと指摘。その延長線上で、中央管理者を持たない分散型ネットワークとしてBitcoinが登場したと位置付けている。
Bitcoin Magazineによると、発端は2000年のドットコムバブル崩壊と、2001年の米同時多発テロ後の金融緩和にさかのぼる。米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を大幅に引き下げたことで金融環境が緩和され、住宅市場のバブル形成につながったという。
その後、2007〜2009年の金融危機では、住宅ローン担保証券(MBS)の価値下落が金融システム全体に波及し、Lehman Brothersの経営破綻をはじめとする大手金融機関の連鎖危機を招いたと分析した。
危機対応として、各国政府と中央銀行は金融システムの崩壊回避を目的に、大規模な救済策と通貨供給の拡大に踏み切った。中央銀行は国債買い入れや利下げを進め、銀行が低コストで資金を調達できるよう支援した。
当時、欧州中央銀行(ECB)のチーフエコノミストだったピーター・プラエトは、ドキュメンタリー「Oeconomia」の中で「物理的な貨幣ではなく、電子的な貨幣を作り出した」と語っている。
Bitcoin Magazineは、こうした通貨供給の拡大が既存の通貨保有者の購買力を薄める構造だと指摘する。新たに供給された資金は銀行や企業、政府、借り手に先に行き渡る一方、既存の現金保有者は通貨価値の低下による影響を受けやすいとした。
また、インフレには実質的に課税に近い効果があるにもかかわらず、多くの人がそれを直接的な税負担として認識しにくいとも説明している。
こうした金融システムへの代替として登場したのがBitcoinだ。サトシ・ナカモトは、Lehman Brothersが連邦破産法第11章の適用を申請してから約6週間後の2008年10月31日に、Bitcoinのホワイトペーパーを公表した。
さらに2009年1月3日にはBitcoinネットワークが始動し、最初のブロックである創世ブロック(ジェネシスブロック)が生成された。このブロックには「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks」という文言が埋め込まれている。英紙The Timesの見出しを引用したもので、繰り返される銀行救済への批判を示すメッセージとして広く受け止められている。
Bitcoin Magazineは、Bitcoinの中核的な特徴として、総発行量が2100万枚に制限されている点と、中央の統制機関を持たない仕組みを挙げた。この構造では中央銀行が恣意的に通貨を追加発行できず、利用者が個人ウォレットで資産を直接保管すれば、銀行破綻や口座凍結といったリスクの影響を受けにくくなると説明している。
加えて、中央集権的な権限が利用者の資産へのアクセスを一方的に制限しにくい点も、重要な特徴だとした。
同メディアは、既存の金融システムが経済危機のたびに通貨供給の拡大を繰り返す構造になっているとも指摘する。気候変動、パンデミック、戦争、人口構造の変化など、さまざまな危機が追加的な流動性供給の根拠として使われ得るという見方だ。
その文脈で、映画「The Big Short」で引用されたマーク・トウェインの言葉「問題を作るのは、私たちが知らないことではなく、確実だと信じているが実際は事実ではないことだ」も紹介した。
Bitcoin Magazineは最終的に、Bitcoinを無制限の通貨発行と、繰り返される金融危機対応への代替として設計されたオープンネットワークだと評価した。国家が使用を強制する通貨ではなく、誰でも自発的に参加できる分散型金融システムである点が、最大の差別化要因だと強調している。