ビットコインが高値から50%超下落する中、資産運用会社Grayscaleは、市場が底打ちするかどうかを左右する主な要因として、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策、CLARITY法の上院通過の可否、Strategyの財務安定性を挙げた。足元では調整局面が続くものの、中長期の強気見通しは維持している。
ブロックチェーンメディアのCoinpostが29日(現地時間)に報じたところによると、Grayscaleの調査責任者ジャック・パンターズは、26日に公表した市場レポートで、ビットコイン相場の強気・弱気両シナリオを示した。
ビットコインは昨年10月に付けた約12万5000ドル(約1875万円)の高値から50%超下落し、6万ドル(約900万円)を下回った。今回のサイクルでは安値圏まで水準を切り下げている。
パンターズ氏は、今回の調整を招いた主因として、市場の金利見通しの変化と、いわゆる「Value Impairment Trade」の巻き戻しを指摘した。
市場では当初、FRB議長にハト派の人物が就くとの見方があったが、実際にはタカ派のケビン・ウォッシュが議長に就任した。加えて、インフレ鈍化のペースも想定より鈍く、市場は年内利下げ期待を後退させ、追加利上げの可能性まで織り込み始めたと分析した。
Grayscaleは、足元のビットコイン安は金利要因だけでは説明できないともみている。CLARITY法の上院通過を巡る不透明感に加え、Strategyの高レバレッジ体質への懸念、量子コンピューティングの進展に伴う将来的なセキュリティリスクも相場の重荷になっているという。
レポートでは強気シナリオの条件として、CLARITY法が上院を通過すること、Strategyが財務構造を安定させること、FRBが追加利上げを見送ることの3点を提示した。これらの条件が満たされれば、ビットコインはすでに底値圏に近づいている可能性が高いと評価した。
一方で、CLARITY法の審議が年内に行き詰まり、Strategyを含むデジタル資産保有企業のデレバレッジが続き、高インフレを受けてFRBが追加利上げに踏み切る場合には、現水準から緩やかな追加下落が続く可能性があると見通した。
ただ、過去の強気相場終了後に見られたような80%前後の急落が再現される可能性は低いとした。今回は前回サイクルに比べて上昇局面が相対的に緩やかだったうえ、機関投資家の需要が下値を支えているためだと説明している。
パンターズ氏は、現在の調整局面について、中長期の投資家にとっては、パブリックブロックチェーン技術とデジタル資産の構造的成長を見据えてポジションを構築する機会だと位置付けた。
Grayscaleは中長期見通しでも前向きな姿勢を崩していない。米国の規制環境の改善が機関投資家の資金流入を促しているとしたうえで、規制当局の承認を受けた無期限先物商品の登場、ステーブルコインの普及、実物資産(RWA)のトークン化拡大を、暗号資産市場の構造的な成長要因に挙げた。
さらに、政府債務の増加、既存の金融仲介機関に対する信認の低下、人工知能(AI)産業の成長も、デジタル資産市場の追い風となる長期トレンドだと評価した。
Grayscaleは「暗号資産は過去10年で最も高いリターンを上げてきた資産クラスだった。次の10年も同様になると考えている」としている。短期的には、FRBの金融政策、CLARITY法の審議の行方、デジタル資産保有企業の財務安定性が、ビットコインの底打ちを判断するうえでの主要な変数になりそうだ。