SECとCFTCを巡る人事への大統領の統制強化が意識されている。写真=Reve AI

米連邦最高裁は、証券取引委員会(SEC)と商品先物取引委員会(CFTC)の委員について、大統領による解任権を広く認める判断を示した。これにより、ドナルド・トランプ米大統領が暗号資産規制の中核を担う両機関の人事に及ぼす影響は一段と強まる可能性がある。上院で審議中のデジタル資産関連法案「CLARITY法」にも波及しそうだ。

Decryptによると、米連邦最高裁は29日、独立規制機関の委員は例外的な場合に限って解任できるとしてきた従来の枠組みを大きく見直し、6対3で大統領権限を広く認めた。

訴訟の発端は、民主党系の連邦取引委員会(FTC)委員、レベッカ・スロター氏の解任を巡る争いだった。ただ、今回の判断はFTCにとどまらず、SECやCFTCなど他の独立規制機関にも波及するとの見方が出ている。一方で、連邦準備制度理事会(Fed)の理事は対象外とされた。

最大のポイントは、大統領がSECとCFTCの委員を事実上、随時交代させやすくなった点にある。両機関はこれまで政治から一定の独立性を保つ規制当局とみなされてきたが、判決を受けて行政府の統制が強まるとの見方が広がっている。

トランプ大統領は判決直後、自身のソーシャルメディアで、今回の判断について「過去100年で最も大きく大統領権限を拡大した」と評価し、「非常に重要な時期に下された記念碑的な決定だ」と歓迎した。

注目されるのは、上院で議論が続くCLARITY法への影響だ。同法案は、米国のデジタル資産市場の制度設計を進めるとともに、暗号資産市場の監督権限をSECとCFTCに幅広く配分する内容を含む。上院民主党はこれまで、両機関で民主党系人事が一定程度確保されなければ支持は難しいとの立場を示してきた。

ただ、トランプ大統領は昨年12月、民主党系人事の可能性を否定しなかったものの、その後は関連する任命を進めていない。SECは共和党系の委員3人のみで構成され、民主党系の委員は空席のままだ。CFTCも共和党所属の委員長が主導していると報じられている。

こうした状況で、連邦最高裁の判断によって、民主党が求めてきた超党派の均衡を保つ仕組みは実効性を失いかねないとの見方が強まっている。仮に民主党系の委員が任命されても、大統領が解任できる余地が広がれば、機関構成そのものを交渉材料として使いにくくなるためだ。

このため、CLARITY法を巡る上院協議はさらに複雑化する可能性がある。法案審議はすでに最終局面に入っており、関係者の間では、8月初めまでに処理できなければ、11月の中間選挙を前に法案推進の勢いが大きく鈍るとの見方が出ている。共和党指導部は、民主党との交渉の進展にかかわらず、来月の本会議採決を目指す方針を維持している。

一方で、争点は規制当局人事だけではない。民主党は、トランプ大統領に関連する暗号資産事業との利益相反を制限する倫理条項を法案に盛り込むよう求めており、これも主要な交渉条件となっている。

業界では、今回の判断を受け、米国の暗号資産規制は立法と大統領権限の両面で再編が進む局面に入ったとの見方が出ている。今後の焦点は、トランプ大統領がSECとCFTCの人事を実際にどう動かすか、そしてCLARITY法が超党派合意なしに上院を通過できるかに移りそうだ。

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