Fidelityは暗号資産市場の現状を「冬」に当たる局面とみて、弱気相場反転の手掛かりを5つ示した。写真=Reve AI

ビットコインが6万ドル前後で推移するなか、Fidelityは足元の下落局面を暗号資産市場の典型的な「冬」と位置付け、弱気相場の反転につながり得る要因として5つのポイントを挙げた。

ブロックチェーンメディアのBitcoin Magazineが29日(現地時間)に伝えたところによると、ビットコインは2025年10月に付けた過去最高値12万6200ドルから約53%低い水準にある。

Fidelityはレポートで、まずビットコインの「4年サイクル」に注目した。2011年以降、相場はおおむね4年周期で強気相場の天井と弱気相場の底を付けてきたと分析。直近の底が2022年11月だったことを踏まえると、この流れが続く場合、次の底は2026年11月前後になる可能性があるとした。

もっとも、周期の長さは毎回同じではないとも指摘した。このパターンは厳密な売買タイミングを示すものではなく、相場の大きな流れを把握するための参考指標とみるべきだとしている。

こうした循環の背景として挙げたのが半減期だ。Fidelityは、ビットコインの新規供給を抑える中核的な仕組みが半減期だと説明。2024年4月の直近の半減期を経て、ブロック報酬は3.125BTCに低下した。新規供給が減る一方で需要が維持または拡大すれば、価格の上昇余地は大きくなり得るとみている。

2つ目の要因は規制環境だ。Fidelityは、過去のビットコインの強気相場では、比較的明確な規制シグナルが先行してきたと分析した。2024年1月に米証券取引委員会(SEC)がビットコイン現物の上場指数商品(ETP)を承認したことは、相場上昇を後押しした主要材料の1つだったとしている。

次の立法上の焦点として挙げたのが「クラリティ法案」だ。同法案は、デジタル資産の監督権限をSECと米商品先物取引委員会(CFTC)で分担し、業界により明確な法的枠組みを与える内容とされる。

同法案は2025年に下院を通過し、その後、上院銀行委員会で扱われた。公聴会は7月17日に予定されている。Fidelityは、最終的に法制化されれば、法的不確実性を背景に抑制されていた米国の投資需要が回復する可能性があるとみている。

3つ目は米連邦準備制度理事会(FRB)の政策だ。Fidelityは、利下げ局面では暗号資産価格が上昇しやすい傾向がみられたと評価した。金融環境が緩和されれば借入コストが下がり、投資家のリスク選好が回復することで、暗号資産市場も恩恵を受けやすいという見方だ。

ただ、2026年半ばの時点でもインフレ懸念は残っており、今後のFRBの政策運営はなお不透明だとした。一方で、相場上昇は正式な利下げ決定に先んじて始まる場合もあり、市場は先回りして織り込む傾向があるとも付け加えた。

4つ目の要因は新たな用途の広がりだ。Fidelityは、2019年から2021年の強気相場では、非代替性トークン(NFT)とミームコインが投資需要を急拡大させたと分析した。2026年に市場の関心を集め得る分野としては、実物資産連動型資産(RWA)のトークン化、人工知能(AI)関連の暗号資産インフラ、ステーブルコインを挙げた。

なかでもステーブルコインについては、2025年に「ジニアス法案」が通過して以降、導入ペースが急速に高まったと評価した。その一方で、市場の流れを変える触媒は往々にして予想外の分野から現れるとも指摘。投資家がまだ十分に注目していない領域から、新たな投資テーマが生まれる可能性もあるとした。

5つ目の要因は機関投資家の参入だ。Fidelityは、上場企業が2020年に初めて暗号資産の保有を開示した際、新たな投資テーマが形成され、当時の最高値更新を後押ししたと指摘した。さらに、2025年3月に米国で浮上した戦略的ビットコイン備蓄案についても、ビットコインを12万6000ドル超まで押し上げた類似の材料だったと評価した。

ただし、2026年を通じて機関投資家の需要が続いたにもかかわらず、それだけでは新たな強気相場の入り口には至っていないとも分析している。

このためFidelityは、想定外の大口需要が再び市場の前提を変える可能性があるとみる。例えば、「マグニフィセント・セブン」のうち1社が大規模なビットコイン保有を発表すれば、2021年のTeslaによる購入発表後と同様、新たな相場テーマが形成される可能性があるという。

また、世界的な危機を受けて機関投資家がビットコインをヘッジ手段として選好するシナリオにも言及した。ただ、イランを巡る紛争が続くなかでも、そうした動きはまだ顕在化していないと付け加えた。

今後の焦点は、これら5つの要因のうち何が先に具体化するかにある。4年サイクルが維持されるのか、米国の立法や金融政策の変化が需要回復を促すのか、あるいは新用途の拡大や機関投資家の大型買いが強気相場の新たな材料となるのか。2026年後半の暗号資産市場は、これらの動向に左右されそうだ。

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