証券業界で自己資本の増強が加速している。とりわけ大手各社の動きが目立つ。IMAや発行手形事業、IB、ベンチャー投資など、資本規模がそのまま収益機会の拡大につながる事業が増えており、大手と中小の格差は一段と広がる公算が大きい。
金融投資業界によると、KB証券は26日、1兆ウォン規模の株主割当による有償増資を実施すると決めた。2月にKB金融持ち株会社から7000億ウォンの資本支援を受けたのに続く追加の資本拡充となる。
増資が完了すれば、KB証券が今年受ける資本注入は計1兆7000億ウォンに達する。自己資本は8兆ウォン台半ばとなる見通しで、IMA事業者の要件である自己資本8兆ウォンを上回る。これにより、Mirae Asset Securities、Korea Investment & Securities、NH Investment & Securitiesに続くIMAの有力候補に浮上する可能性が高まった。
資本増強によって業界内の序列にも変化が出そうだ。KB証券はこれまで4位圏とされてきたMeritz SecuritiesやSamsung Securitiesを上回り、NH Investment & Securitiesに次ぐ業界4位に浮上する公算がある。単なる順位の入れ替わりにとどまらず、超大型IBを巡る競争でKB証券の存在感が強まることを意味する。
今年の増資の流れを先導したのはKorea Investment & Securitiesだ。Korea Financial Groupは1月、Korea Investment & Securitiesの1兆5000億ウォン規模の株主割当有償増資に参加すると決めた。
Korea Investment & Securitiesはすでに自己資本10兆ウォン台の超大型証券会社で、今回の資本拡充は発行手形事業やIMA、IB部門での首位圏の地位固めを狙った色彩が強い。自己資本を厚くすることで、大型案件の引き受けや企業向け信用供与、ベンチャー投資の余力をさらに高められるためだ。
Woori Investment & Securitiesも4月、1兆ウォン規模の有償増資を決めた。Woori Financial Groupが全額を引き受ける形で、増資完了後の資本総額は約2兆2000億ウォンに増える。
Woori Investment & Securitiesは2030年までに総合金融投資事業者へ飛躍する目標を掲げている。現時点では大手に比べ自己資本規模で見劣りするが、Woori Financial Groupが非銀行部門の強化を進めるなか、今後追加の資本支援があるかどうかが中長期の成長を左右する要素になりそうだ。
NH Investment & Securitiesは6月、NH NongHyup Financial Groupを割当先とする4000億ウォン規模の第三者割当有償増資を決定した。NH Investment & Securitiesは3月、金融委員会から自己資本8兆ウォン以上の総合金融投資事業者に指定されており、IMA業務の基盤を整えている。
資本拡充の動きは大手に限らない。中小型ではHanyang Securitiesが、筆頭株主のKCGI第2号私募投資パートナーシップ(KCGI PEF)を割当先とする500億ウォン規模の第三者割当有償増資を決めた。
今年確認された証券会社本体の有償増資を合計すると、Korea Investment & Securitiesが1兆5000億ウォン、KB証券が1兆7000億ウォン、Woori Investment & Securitiesが1兆ウォン、NH Investment & Securitiesが4000億ウォン、Hanyang Securitiesが500億ウォンで、総額は4兆6500億ウォンに上る。
もっとも、資本拡充の目的や体力には大きな差がある。大手は積み増した資本をもとに、IMAや発行手形事業、IB、買収金融といった高収益事業を拡大できる。一方、中小型は財務健全性の維持や新規事業の推進に向けた最低限の資本確保という性格が濃い。
Shinhan Investment Corp.とHana Securitiesは今年、有償増資を実施していない。両社は昨年末に金融当局から発行手形事業の認可を受けており、当面は大幅な自己資本増強よりも、発行手形事業による資金調達余力の拡大を並行して進める戦略を取る見通しだ。
こうした資本競争の背景には、いわゆる「金産分離」の原則もある。産業資本が金融会社に直接大規模な資金を投じたり、金融会社を支配したりすることにはなお制約がある。このため、証券会社の資本拡充は金融持ち株会社による内部支援の有無に左右されやすい。
その結果、銀行系金融持ち株会社が証券子会社にどこまで資本を配分するかが、超大型IB競争の重要な変数として浮上している。
金融業界では、金産分離を巡る規制緩和の議論が長期的には証券会社の新事業拡大や外部提携の余地を広げるとの見方がある。一方、短期的には規制緩和そのものより、自己資本の規模と持ち株会社の支援余力が競争力を分ける要因として作用する可能性が高い。
証券会社が資本拡充を急ぐのは、自己資本の厚みが事業領域を左右する構造にあるためだ。IMAは顧客資金を一体運用し、企業金融資産などで運用する事業で、要件として自己資本8兆ウォン以上が求められる。総合金融投資事業者や超大型IBの認可でも、自己資本規模は重要な基準となる。
株式市場の売買代金の増加も、資本拡充の必要性を押し上げている。取引が増えれば信用供与の需要も膨らむ。信用供与の限度額は自己資本と連動するため、資本が大きい証券会社ほど個人向け営業でも余力を確保しやすい。
業界では、証券業の競争力が自己資本と資金調達力を軸に再編されつつあるとみている。銀行系金融持ち株会社にとっても、証券子会社は非銀行収益基盤を拡大する中核と位置付けられる。
金産分離の枠組みのもとでは、外部の産業資本の流入には限界がある。今後の順位争いでは、金融持ち株会社系列の証券会社に対し、追加の資本支援が行われるかどうかが引き続き焦点となりそうだ。
一方、中小型は認可事業、調達コスト、信用供与余力の各面で同時に圧力を受けかねない。大手が厚くした資本を背景にIBや資産管理、リテール分野を広げれば、中小型が差別化できる領域はさらに狭まる可能性が高い。
金融投資業界の関係者は「最近の証券業は、自己資本が大きいほど手掛けられる事業の幅も、引き受けられるリスクの規模も変わる構造だ」としたうえで、「大手は資本拡充によって成長事業を先取りできる一方、中小型は特化戦略がなければ立ち位置がさらに狭まる恐れがある」と話した。