Naverがコマース事業でCoupangの追い上げを強めている。Naver Plus Storeで新規流入と利用者数の増加が続く中、Naverは会員向けNetflix上位プランの追加料金を引き下げ、メンバーシップの囲い込みを強化する。
Naverは7月1日から、Naver Plusメンバーシップ会員向けにNetflix上位プランの追加料金を値下げする。スタンダードプランは月8000ウォンから6500ウォンに、プレミアムプランは月1万1500ウォンから1万ウォンにそれぞれ引き下げる。値下げ幅はいずれも1500ウォン。既存の利用者にも新料金が自動で適用される。
今回の料金改定は、単なるコンテンツ価格の見直しにとどまらない。Coupangは「Wowメンバーシップ」を軸に、送料無料・無料返品に加え、Coupang PlayやCoupang Eatsを組み合わせて会員基盤を拡大してきた。これに対しNaverも、動画配信特典やポイント、AIを活用したショッピング機能、配送特典をメンバーシップに組み込み、プラットフォーム内での滞在時間と購買転換の引き上げを目指している。
### 新規流入が拡大するNaver Plus Store
追い上げの兆しはアプリ指標にも表れている。IGAWorksの「Mobile Index」によると、今月15〜21日のNaver Plus Storeアプリの新規インストール数は15万6861件と、同期間のCoupangの8万7300件を約1.8倍上回った。
月間ベースでも同様の傾向が続く。先月の新規インストール数はNaver Plus Storeが70万353件、Coupangが40万9802件で、Naver Plus Storeが約1.7倍多かった。業種内の新規インストールシェアも、今年3月の38.9%から4月に41.7%、5月に42.7%へと上昇している。
月間アクティブユーザー数(MAU)も増加傾向にある。Naver Plus Storeは今年4月、11番街を初めて上回り、5月まで2カ月連続でコマースアプリのMAU2位を維持した。
先月の利用者数は875万3人で、11番街の820万9703人を約54万人上回った。4月時点の差は19万人だったため、1カ月で差が約2.8倍に広がった計算になる。3月の776万9721人と比べると、2カ月で100万人近く増えたことになる。
もっとも、Coupangとの差はなお大きい。先月のCoupangのMAUは3500万人台で、Naver Plus Storeの約4倍に相当する。両アプリの利用者数の差は、3月の約2700万人から5月には約2600万人へと100万人縮小したが、市場での優位性は依然としてCoupangが保っている。
### Netflix特典の効果を確認、値下げで訴求力上積み
Naverが今回、他の特典ではなくNetflix上位プランの追加料金を引き下げた背景には、提携効果を示す実績がある。NaverとNetflixは昨年4月の懇談会で提携成果を公表し、Naver Plusメンバーシップの1日当たり新規加入者数が従来比で約1.5倍に増えたと明らかにしている。
さらに、Netflixを特典として選択した新規会員の買い物支出は、加入前に比べて30%以上増加したという。コンテンツ特典が会員獲得だけでなく、ショッピング支出の拡大にもつながったことを示すデータといえる。今回の値下げも、こうした効果の上積みを狙った施策とみられる。
これまでNaver Plusメンバーシップでは、Netflixの広告付きスタンダードが基本特典だった。広告なし視聴や同時接続数の拡大を求める場合は追加費用が必要だったが、今回の値下げで既存会員の満足度向上に加え、新規加入のハードル引き下げも期待できる。
Naverは下半期に無制限の送料無料導入を控えており、今回のコンテンツ料金改定は、配送特典の拡充に先立ってメンバーシップの費用対効果を高める布石とも受け止められる。
### 課題は流入を購買につなげられるか
NaverはAIベースのパーソナライズ推薦も、コマース競争力の柱に位置付けている。5月には、Naver Plus Storeの総取引額に占めるAI推薦経由の取引額比率が初めて50%を超えた。
利用者の関心や購買履歴に応じて商品を推薦し、検索から決済、配送までをアプリ内で完結させる仕組みが、新規流入の拡大に寄与したとみられる。
ただ、新規インストールの増加がそのままCoupangとの差の縮小を意味するわけではない。Naver Plus Storeの利用者がすべてNaver Plusメンバーシップ会員とは限らず、インストールした利用者が実際の購買やリピート購入につながるかは見極めが必要だ。
最終的な課題は、新規流入をメンバーシップ加入へ、加入をショッピング支出の増加へとつなげられるかにある。Netflix上位プランの追加料金引き下げは、その転換率を高めるための一手といえそうだ。
コンテンツ特典で加入動機をつくり、ポイントや配送特典で利用頻度を高め、AI推薦で購買転換を促す。下半期の送料無料強化まで連動すれば、Naver Plusメンバーシップは単なるサブスクを超え、Naverのコマース生態系における中核的な接点として存在感を高める可能性がある。
業界関係者は「Netflix提携によって会員加入が増え、ショッピング支出も拡大することは、すでに数値で確認されている。今回の値下げは、その効果をさらに引き上げるための計算された施策だ」とした上で、「下半期の送料無料導入と組み合わされれば、Naverメンバーシップの加入誘因はこれまで以上に強まる」と述べた。