写真=DJI本社「Sky City」(中国・深セン)

【深セン(中国)=デジタルトゥデイ・ソク・デゴン記者】DJIは6月11日、深セン本社「Sky City」をメディアに公開した。ドローンに加え、ジンバル、ポケットカメラ、ロボット掃除機までを含む研究開発機能を集約した拠点で、イメージングを軸に飛行・地上・家庭へと事業領域を広げる同社の戦略を象徴する施設となっている。

DJIは自社を単なるドローンメーカーではなく、イメージング企業と位置付ける。航空分野で培った技術をベースに、ジンバルやカメラ、さらに地上を走行するロボット掃除機や運搬車へと製品領域を広げており、いずれも「映像」を中核に据えた事業の延長線上にあるとの考えを示した。

Sky Cityは建築設計をFoster + Partnersが手掛けた。44階建てと40階建てのツインタワーで、高さは約200メートル。2棟は地上105メートルの位置で、全長90メートルのスカイブリッジによって接続されている。分散していた従業員を1カ所に集約するために整備したという。

創業者兼CEOのフランク・ワン氏は、新本社の建設に6年を要したと説明。Sky Cityについて、これまで手掛けてきたどの製品とも異なる「本当の家」と表現した。

建物の設計にはDJIの企業哲学も反映した。中央コアから外側へ張り出す執務空間は、遠景では建物が浮かんでいるような印象を与える。2棟をつなぐスカイブリッジには、全部門が共通の目標に向けて有機的に連携するという意味を込めたという。建物下部には傾斜した庭園を設け、周辺の緑地が自然につながるようにしたほか、1階の一部は一般にも開放した。

雨水の回収・再利用や自然採光の活用など、持続可能性を意識した設計も取り入れた。

館内の展示からは、DJIがイメージングを起点に事業領域をどこまで広げてきたかがうかがえる。出発点は飛行分野だ。農業分野ではドローンの活用を進めており、農業用ドローン1台で最大40人分の作業を代替できるとしている。

防除や播種といった人手作業を飛行機器が担うことで、作業そのものの在り方が変わるという。用途は農業にとどまらず、交通管制や巡回など公共分野にも広がっている。

200倍ズームを使って遠方の状況を把握し、対応につなげる運用例もあるという。ドローンは娯楽用途の機器から、産業現場の生産性向上を支えるツールへと役割を広げつつある。

飛行分野で培った技術は地上向け製品にも展開している。ハンドヘルドジンバルやアクションカメラ、ポケットサイズのカメラはその延長線上にある。

さらにDJIは家庭向け市場にも参入した。昨年の第1世代機に続く第2世代ロボット掃除機として、今年「ROMO」を公開した。空中で蓄積した検知、回避、経路判断の技術を家庭向け製品に転用し、家事負担の軽減を目指すとしている。

ドローン、ジンバル、ロボット掃除機は一見すると別々の製品群に見えるが、移動する機器が周囲を認識し、自律的に判断するという共通基盤を持つ。ロボット掃除機市場にはすでに有力な競合がいるが、DJIは後発であるぶん、まだ満たされていないユーザーニーズをより明確に把握できる点を強みに挙げた。

空中で磨いた検知技術をミリ単位の障害物回避に生かし、小さなカードや透明な液体まで回避できるようにしたという。

DJIの研究開発は飛行や映像にとどまらない。管理された試験環境の下で、製品の映像や音を細かくチューニングする工程にも大きく投資しているという。

遮音空間では機器が発する微細な音まで捉えて低減を図り、手ブレを抑える安定化性能も繰り返し検証する。音響や振動制御といった外部から見えにくい領域まで掘り下げることで、製品の完成度を高めている。

こうした検証の積み重ねが、「Pocket」シリーズなど映像機器の基盤になっているとしている。

イメージングを軸にした事業拡大は、市場実績にも表れている。日本市場がその一例だ。調査会社BCNによると、「Pocket 3」は2023年10月の発売以降、日本のビデオカメラ市場で20カ月連続の販売首位を維持し、2025年6月時点のシェアは34.1%に達した。

日本で売れたビデオカメラの3台に1台が「Pocket 3」だった計算になる。2026年4月発売の「Pocket 4」は、投入から9日で21.5%のシェアを記録。同期間におけるDJIのイメージング製品全体の日本市場シェアは72.5%だった。

ドローン分野でも実績を伸ばしている。2026年3月に発売した初のパノラマドローン「Avata 360」は、約2カ月で世界のパノラマドローン市場の98%超を占めたとされる。

DJIは、特定企業を上回ること自体を目標にはしていないと強調した。競合を追うのではなく、ユーザー中心の発想とイノベーションを通じて、より良い製品体験を提供することを重視するという。

屋外活動や撮影を楽しむユーザーを中核に据え、イメージングを軸に飛行・地上・家庭をまたぐ製品群を展開する――。Sky Cityは、そうした構想を体現する研究開発拠点といえそうだ。

キーワード

#DJI #Sky City #ドローン #ロボット掃除機 #研究開発 #深セン #イメージング
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.