AIインフラ競争は半導体やサーバーにとどまらず、電力設備の確保にも広がっている。写真はイメージ=Shutterstock

米GE Vernovaの大型ガスタービン受注が、AIデータセンター向けの電力需要拡大を背景に2029年分まで埋まった。AIインフラを巡る競争は半導体やサーバーの確保にとどまらず、発電設備の調達にも広がっている。

CNBCが6月27日(現地時間)に報じたところによると、Amazon、Google、Microsoft、Oracleなどの主要ハイパースケーラーは、AIデータセンターに必要な安定電源を確保するため、GE Vernova製ガスタービンの導入を拡大している。

背景にあるのは、AIデータセンターの膨大な電力需要だ。生成AIサービスでは大規模なGPUサーバーを24時間稼働させる必要があり、従来型のデータセンター以上に大量かつ安定した電力供給が求められる。一方で、米国各地では送電網への接続遅延が続いており、大手テック企業は系統増強を待つのではなく、自前の発電設備の確保にも動いている。

GE Vernovaは需要増に対応するため、米サウスカロライナ州グリーンビル工場の生産能力を増強している。昨年は200人を新規採用し、今年末までにさらに300人を追加採用して、大型ガスタービンの増産を進める計画だ。

同社の最高商業・運用責任者(CCO)、パブロ・コジナー氏は、大型ガスタービンについて、AI時代の大規模な電力需要に対応する現実的な選択肢の一つだと説明した。「AIと電化の進展で、大規模かつ安定した電力が必要になっている。現在工場で生産しているガスタービンが、その需要の相当部分を支えている」と述べた。

実際に大型案件も動いている。Microsoftはテキサス州のデータセンター向け電源として、GE Vernovaのガスタービン7基を購入した。総発電容量は2.7ギガワット(GW)で、約300万世帯に電力を供給できる規模としている。

調査会社Cleanviewによると、GE Vernovaのガスタービンは、イーロン・マスク氏のAI企業xAIがテネシー州で運営する「Colossus 1」データセンターにも導入された。OpenAIが進めるテキサス州の「Stargate」プロジェクトでも、約1GW規模のガスタービン配備が進んでいるという。

AI企業側の関心も高い。CNBCは事情に詳しい関係者の話として、主要ハイパースケーラーの経営陣の多くがGE Vernovaのグリーンビル工場を直接訪れたと伝えた。OpenAIを含む各社が発電設備や産業インフラまで確認しており、AI競争の主戦場がサーバーや半導体から電力設備の確保へ広がっていることをうかがわせる。

ガスタービン価格も急騰している。GE Vernovaの大型ガスタービンは高さ約9.4メートル、重量280トンで、1基あたり約50万世帯に電力を供給できるという。業界では1基の価格が2億5000万ドル(約375億円)を超えるとみられ、投資銀行Meliusは過去3年間で価格が約300%上昇したと分析した。

受注残も数年先まで積み上がっている。GE Vernovaは、現在のガス発電事業の受注残のうち約20%をデータセンターとAI関連プロジェクトが占めると明らかにした。コジナー氏は「2029年までの生産枠はすべて埋まっており、2030年分と2031年分についても契約が続いている」と説明した。

こうした期待を背景に、GE Vernova株は直近6カ月で約60%上昇した。AIインフラ拡大が発電設備メーカーの業績を押し上げるとの見方が株価に反映された格好だ。

もっとも、AIデータセンターの拡大がこのまま順調に進むとは限らない。大規模発電設備やデータセンター建設を巡っては、地域社会の反発や環境負荷がなお課題として残る。

GE Vernovaは発電効率の改善にも力を入れている。コジナー氏は、現在生産しているガスタービンの効率が20年前の製品に比べて約2倍に高まったと説明し、発電効率の向上と炭素排出の削減に向けた技術開発を継続していると明らかにした。

AI時代のインフラ競争が半導体を超えて電力確保へ広がる中、発電設備メーカーは新たな恩恵を受ける産業として存在感を強めている。一方で、安定供給と環境負荷のバランスをどう取るかが、AI産業の成長を左右する重要な課題になりそうだ。

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