Amazon Web Services(AWS)は29日、中性原子方式の量子コンピューティング企業QuEra Computingとの協業を拡大し、耐故障性量子コンピュータ「Libra」を2028年までにAmazon Braketを通じてクラウド提供すると発表した。
AWSは2020年、複数の量子コンピューティングハードウェアにアクセスできるクラウドサービスとしてAmazon Braketの提供を始めた。
量子コンピュータは、量子ビットが外部環境のわずかな変化でも誤りを起こしやすいという課題を抱える。AWSは、こうした弱点を誤り訂正技術で補う耐故障性量子コンピューティングが、従来のコンピュータでは扱いにくい問題に取り組むうえで重要な段階になると位置付けている。
今回の協業拡大の中核となるのが、Megaquop規模の量子デバイス「Libra」だ。AWSによると、Libraは数百の論理量子ビットを基盤に100万回を超える量子演算を実行できる設計で、実用的な科学分野への応用を見据えた節目となる性能水準を目指す。
Libraが2028年にAmazon Braketで提供されれば、世界の研究者や企業は、自前で量子ハードウェアを保有しなくても耐故障性量子コンピューティングを利用できるようになるという。
AWSはリュードベリ原子方式に加え、自社の量子コンピューティング拠点「AWS Center for Quantum Computing」で、超伝導方式のキャット量子ビットを採用したチップ「Ocelot」の開発も進めている。
QuEra Computingの最高科学責任者(CSO)であるミハイル・ルーキン教授は、「有用で耐故障性を備えた量子コンピュータの実現が、かつてなく現実味を帯びてきた」とコメントした。そのうえで、「このシステムは前例のない規模の量子演算を可能にするよう設計されており、これまでにない応用分野を切り開く。AWSとの協業拡大を通じて、この独自の能力をより幅広い科学コミュニティに提供できることを誇りに思う」と述べた。