ビットコイン市場で、短期保有者による売り圧力が強まっている。含み損を抱えた短期保有者の保有分が取引所に大量流入しており、足元では短期的な下押しリスクへの警戒が再び高まっている。一方、長期保有者には買い増しの動きもみられ、需給は綱引きの様相を呈している。
Cointelegraphが27日付で報じたところによると、直近24時間で取引所に移された短期保有者の含み損ポジションは約5万BTCに達し、6月4日以降で最大となった。
市場では、直近155日以内にビットコインを取得した投資家の売り圧力が強まっているとの見方が出ている。CryptoQuantのアナリスト、アムル・タハ氏によれば、26日時点で短期保有者が保有するビットコインの時価総額は2377億ドルと、2024年10月2日以降の最低水準まで落ち込んだ。
取引所への資金流入もこうした流れを裏付けた。短期保有者の含み損ポジション約5万BTCのうち、約9500BTCはBinanceに流入した。Binanceへの流入量としても6月3日以降で最大で、新規参入組が価格下落に反応して売却に動く可能性を示している。
一方で、長期保有者には逆の動きが出ている。蓄積アドレスへのビットコイン流入は26日に18万1000BTCとなり、過去最高を更新した。従来の最高は2022年2月の9万4700BTCだった。
資金が、ほとんど移動履歴のないウォレットに集まっている点から、市場では長期投資家が短期保有者の売りを吸収しているとの見方も出ている。ただ、CryptoQuantは、足元の指標は相場の底打ちを示すというより、投資家心理の悪化を映すものに近いとみている。
相場の重しとしては、機関投資家需要の鈍化もある。市場アナリストのダークポスト氏は、Coinbase Premium Indexが5月15日以降、40日連続でマイナスを記録していると指摘した。
同指数は、Coinbase AdvancedとBinanceにおけるビットコイン価格の差を示す指標だ。Coinbaseの価格が継続的にディスカウントされている状況は、個人投資家よりもプロ投資家や機関投資家の売り圧力が強い可能性を示唆する。
米国のマクロ指標も、金融緩和期待の後退につながった。個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は4.1%と、市場予想の4.0%を上回った。コアPCE上昇率も3.4%と予想の3.3%を上回り、国内総生産(GDP)成長率も2.1%と推定値を上回った。
Bitwiseは、先週の米連邦準備制度理事会(Fed)会合について、金融引き締めの長期化を意識させる内容だったと評価した。2026年の政策金利見通しの中央値が従来の3.4%から3.8%に引き上げられたことで、ビットコインには逆風の環境が続いているとの見方だ。Bitwiseはあわせて、現物ETFを含む暗号資産連動の上場投資商品(ETP)から資金流出が続いていることも明らかにした。
ビットコインの大口買い手として知られるStrategyの資金調達負担も、相場の下押し要因とみられている。Strategyは2026年に入って17万4300BTCを買い増したが、その相当部分はSTRC優先株とMSTR普通株の発行で賄われたと推定される。足元では関連証券の価格が軟調に推移しており、同社がこれまでのようにビットコイン買いを支えにくくなるとの懸念も出ている。
足元のビットコイン市場では、短期保有者の損切り売りと長期保有者の買い増しが同時に進んでいる。ただ、機関投資家需要の弱さに加え、金融引き締めの長期化観測や大口買い手の資金調達負担も重なっており、短期的な下押し圧力はなお続く可能性がある。