暗号資産市場の低迷が長引くなか、反発局面を見据えた資金の向かい先として、トークンではなく関連株に注目する動きが強まっている。CryptoSlateによると、ARK Invest傘下のETFは25日、Coinbase、Circle、Bullish、Robinhoodの4銘柄を合計約540万ドル買い付けた。
買い付けは、4銘柄がそろって下落した日に実施された。内訳はCoinbaseが128万ドル、Circleが63万7455ドル、Bullishが19万9895ドル、Robinhoodが327万ドルだった。
ARK InvestのCEO、キャシー・ウッド氏は、相場の下落局面で押し目買いに動いた格好だ。今回組み入れた企業はいずれも、暗号資産の売買、ステーブルコイン流通、カストディ、デリバティブ、個人投資家の取引といった暗号資産関連の活動そのものを収益源としている。
背景には、トークン市場の長期低迷がある。暗号資産市場全体の時価総額は前年から36%超縮小し、アルトコイン全般も2025年10月の高値を約45%下回る水準にある。
ビットコインも年初来の値動きが過去10年余りで最も低調な部類に入り、資金は人工知能(AI)関連株や主要企業の新規株式公開(IPO)市場へ流れている。
企業別にみると、足元の業績には明暗が分かれる。Coinbaseは1〜3月期について、暗号資産取引量シェアが8.6%、直近12カ月のデリバティブ取引量が169%増、世界の暗号資産カストディ資産の12%を保有し、USDC流通量の25%超が同社プロダクト上にあると公表した。
一方で、取引低迷の影響は業績に表れた。Coinbaseの1〜3月期の取引収益は約40%減の7億5600万ドル。売上高も前年同期の20億3000万ドルから14億3000万ドルに減少し、純損失は2四半期連続となった。
Circleはステーブルコイン流通の拡大が強みだ。1〜3月期のUSDC流通量は770億ドルと前年同期比28%増。オンチェーンでのUSDC取引量は263%増の21兆5000億ドルに達した。
売上高と準備資産収益の合計は6億9400万ドルで、20%増だった。ただ、Circleの収益構造はアルトコインの値動きよりも、流通残高、準備資産の利回り、配布契約の条件に左右されやすい。
Robinhoodでは、個人投資家の取引回復が焦点となる。1〜3月期の暗号資産売上高は1億3400万ドルで前年同期比47%減。アプリ内の暗号資産名目取引量も48%減少した。
ただし、Bitstamp経由で加わった420億ドルを含めると、名目取引量は合計660億ドルとなる。Bullishは機関投資家需要への依存度が高く、1〜3月期のデジタル資産売上高は518億ドル、調整後EBITDAは3510万ドル。4月のビットコイン・オプション未決済建玉の市場シェアは14%だった。
市場の見方は明快だ。個人投資家の投機マネーが戻り、デリバティブ取引が持ち直し、ステーブルコイン供給が拡大し続ければ、取引所株や証券・ブローカー株はアルトコイン全体の上昇より先に反応する可能性がある。
企業の手数料収入や利益見通しは、トークンのテーマ性や期待先行の値動きより早く改善しやすいためだ。Coinbaseでは、1〜3月期の取引収益7億5600万ドルを基準にみると、取引収益が10%増えれば四半期で7600万ドル、25%増なら1億8900万ドルの上積みになるとの試算が示されている。
もっとも、弱気シナリオもある。AI関連株やIPO市場、上場株に資金流入が続き、暗号資産取引が低水準にとどまれば、関連企業の業績はすぐに圧迫される。CoinbaseとRobinhoodの直近業績は、取引鈍化がそのまま減収につながることを示した。
CircleはUSDC流通量の維持と準備資産利回りの確保が前提となる。Bullishも、機関投資家の取引需要が失速すれば収益への打撃は避けにくい。
最終的な焦点は、相場反発の「形」にある。市場が2021年のような広範なアルトコイン相場に戻るのか、それとも限定的で短期の循環にとどまるのかによって、恩恵を受ける資産は分かれる可能性がある。
トークンを直接選別する戦略では、流動性リスクやアンロック日程、テーマ失速を織り込む必要がある。その一方で、関連株は暗号資産市場の活動回復そのものに賭ける手段として、改めて評価されつつある。