OpenAIの対話型AI「ChatGPT」 写真=Shutterstock

OpenAIは次期主力モデル「GPT-5.6」の全面公開を見送り、一部の企業顧客を対象に限定公開へ移行する。米ITメディアのThe Vergeが25日(現地時間)に報じた。

報道によると、米トランプ政権は潜在的なセキュリティ上の懸念を理由に、OpenAIに対してGPT-5.6を段階的に展開するよう要請したという。サム・アルトマンCEOは社内向けに、同モデルを限定的なプレビューとして提供すると説明したとされる。

焦点となるのはアクセス管理だ。試験公開の期間中は、顧客ごとの利用可否について、トランプ政権が個別に承認する見通しだという。OpenAIはトランプ政権の要請に沿って、公開範囲と提供先を絞り込む形になる。

今回の対応は、今月初めにAnthropicに示された要求と比べると、なお緩やかな措置と受け止められている。トランプ政権は先にAnthropicに対し、「Mythos5」と「Fable5」へのアクセス停止を求める最終通告を送った。あわせて輸出管理の指針も示し、外国籍者による技術へのアクセスを禁じる内容を盛り込んだ。この基準は、米国籍を持たないAnthropic社員にも適用された。

一方で、政権のAI政策が従来のメッセージと食い違っているとの見方も出ている。トランプ政権はこれまで、AI分野では「スピードが勝つ」との姿勢を打ち出し、米国のAI輸出を後押しするプログラムも推進するとしてきた。だが実際には、主要AI企業の最新モデルの配布に政府が直接関与し、国籍や顧客ごとの審査でアクセス対象を分ける動きが表れている。

こうした変化は、業界内の懸念も強めている。Anthropicの事例では、政権の対応が過度に強硬ではないかとの声がテック業界で上がっていた。今回はOpenAIが全面停止ではなく限定公開を選んだことで、企業ごとに異なる基準が適用されている実態も浮き彫りになった。

OpenAIにとっては、最新モデルの公開を完全に止めず、企業顧客向けの試験運用を維持する折衷案といえる。ただ、顧客アクセス自体が政権の個別承認に委ねられるため、今後の配布ペースや顧客拡大の時期は政府判断に大きく左右される可能性がある。

米国のAI規制を巡っては、一貫性の欠如も改めて問われそうだ。同じ政権が一方ではアクセス停止を求め、他方では限定公開を認めることで、統制基準が一様ではないとの指摘が出ている。業界内外で指摘されてきた懸念が、企業間の対応の差として現実化している格好だ。

今後の焦点は2つある。OpenAIの限定公開がいつ一般公開に移るのか、そしてトランプ政権が他のAI企業の新モデルにも同様の承認スキームを適用するかどうかだ。最新モデルの配布は、技術競争だけでなく、連邦政府の事前承認という論点とも結びつきつつあり、米国のAI産業の投資戦略にも当面影響を及ぼしそうだ。

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