PC向けメモリ価格を左右する製品価格と生産配分の両面で緩和シグナルが出ている。写真=Shutterstock

上期に急騰したPC向けメモリ価格が、下期は上昇一服となる可能性が出てきた。ASUSは追加の値上げ幅を一桁台に抑える見通しを示したほか、市場ではSK hynixが汎用DRAMの生産比重を引き上げるとの観測も浮上している。

米ITメディアのTechRadarが24日(現地時間)に報じたところによると、ASUSは台湾市場で上期に一部製品を大幅に値上げしたものの、下期はそのペースが鈍るとみている。

ASUSのリャオ・イーシャン総経理は、今年5月時点で一部製品の価格が前年第4四半期比で約30%上昇したと明らかにした。その一方で、下期も部材価格の上昇が続く可能性はあるものの、追加の値上げ幅は一桁台にとどまるとの見通しを示した。

背景には、メモリとストレージ価格の安定がある。リャオ総経理は、足元でメモリとストレージの調達コストが低下し、製品原価への負担が和らいでいると説明。年初以降は値上がり前の駆け込み需要が集中しており、追加の大幅値上げは通りにくい状況だと付け加えた。

供給面では、SK hynixの生産戦略見直し観測が注目されている。市場では、同社が高帯域幅メモリ(HBM)の増産ペースを一部調整し、汎用DRAMの生産比重を高めるとの見方が出ている。実際に配分が見直されれば、HBM向けの生産余力の一部がPC向けDDR5などに振り向けられ、供給不足や価格上昇圧力の緩和につながる可能性がある。

もっとも、投資家の受け止めは分かれた。人工知能(AI)向けメモリの成長鈍化懸念が広がり、SK hynix株は12%超下落し、Samsung Electronicsも約12%下落した。AI半導体関連銘柄には全般に売りが広がった。

一方、需要側では、DDR5の供給拡大が現実味を帯びれば、メモリ価格の安定につながるとの期待も出ている。

ただ、供給正常化にはなお時間を要する可能性がある。SKグループのチェ・テウォン会長は、DRAMの供給不足が2030年まで続く可能性があるとの見通しを示しており、NVIDIAのジェンスン・フアン最高経営責任者(CEO)も最近、同様の見解を示した。

市場では、今回の生産戦略見直しはAI向けメモリ需要の鈍化を反映したものというより、DRAM価格の上昇に伴う採算改善を狙った生産調整である可能性も指摘されている。

こうした中、AMDも今月初め、メモリ供給拡大の見通しを示した。AMDでRyzen CPU・Radeon GPU部門の副社長兼ゼネラルマネジャーを務めるデービッド・マカフィ氏は、メモリ各社が生産能力を急速に拡大しており、新規増設分はDDR5、LPDDR、HBMなど次世代メモリに集中するとの見方を示した。

同氏は、DDR4の生産拡大余地は大きくない一方、新型メモリの生産能力は2027年末から2028年にかけて本格的に増えるとの見通しも示した。

もっとも、これだけでメモリ需給の逼迫解消を見込むのは早計だ。ただ、上期に約30%まで高まったPC価格の上昇率が下期には一桁台へ鈍化する可能性に加え、SK hynixのDDR5増産観測も重なり、消費者向けメモリ市場はひとまず様子見局面に入るとの見方が強まっている。

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