画像=Reve AIが生成したアーサー・ヘイズ氏のイメージ

BitMEX共同創業者のアーサー・ヘイズ氏は、AIインフラ投資ブームが債務問題で失速した後、政策当局が大規模な流動性供給を再開すれば、ビットコイン価格が100万ドルまで上昇する可能性があるとの見方を示した。

CryptoSlateが24日(現地時間)に報じたところによると、ヘイズ氏は、まず市場の流動性がAI分野に吸収され、その後に信用不安が表面化すれば、危機対応で供給される資金が再び暗号資産市場に向かう可能性があると説明した。

同氏はBanklessのインタビューとSubstackへの投稿で、2022年11月から2026年半ばまでにAI関連債務が約1兆5000億ドル(約225兆円)発行されたと指摘した。この期間のM2通貨量の増加もほぼ同規模で、新たに供給されたドルはビットコインに向かう前に、データセンターやGPUクラスターへの投資に吸収されたとの認識を示した。

こうした見方に近い指摘も出ている。調査会社Forest for the Treesの創業者ルーク・グロメン氏は6月のポッドキャストで、株価指数は過去最高圏にある一方、市場の内部構造は健全ではないと述べた。AI関連銘柄に収益が集中して市場の裾野が狭まり、ビットコインも流動性不足の影響を受けているとの見方だ。

マクロ分析の分野でも、AI偏重と信用リスクへの警戒は強まっている。Apolloのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は、S&P500の上位10社のバリュエーションが1990年代のハイテク株バブル時を上回っていると指摘した。足元では、上位10銘柄の構成比率が指数全体の約40%に達しているという。

国際決済銀行(BIS)も2026年の報告書で、AIインフラ投資に伴い、企業が内部キャッシュフローよりも外部債務への依存を強め始めていると指摘した。AI関連企業向けの民間信用残高は、ほぼゼロから2000億ドル(約30兆円)超へ拡大し、民間信用全体に占める比率も1%未満から8%近くまで上昇した。BISは、想定収益が下振れした場合、信用基準の悪化や金融安定リスクの高まりにつながる可能性があるとみている。

もっとも、このシナリオがそのままビットコインの強気相場に直結するとは限らない。ヘイズ氏自身も、広範なリスクオフ局面では資産間の相関が1に近づき、投資家が幅広い資産を売却しやすくなると認めている。

実際、ビットコインは2025年10月に付けた12万6000ドルの高値から、その後に約50%下落した。当時は通貨量が増加していたにもかかわらず、ビットコインは他のリスク資産とともに売られた。

ヘイズ氏が重視しているのは、その次の局面だ。ショック直後にはビットコインも売り圧力を受ける可能性があるものの、その後に当局が大規模な流動性を供給し、AI投資で損失を被った資金が同分野ではなく希少資産へ向かえば、ビットコインが恩恵を受けるというのが同氏のシナリオである。

これとは別に、より緩やかな流動性拡大を想定する見方もある。マクロ経済学者のリン・オールデン氏は、2026年に米連邦準備制度理事会(FRB)が2200億ドル(約33兆円)から3750億ドル(約56兆2500億円)規模の段階的な通貨拡大に動く可能性があると予測した。ただ、危機局面で実施される大規模な量的緩和とは性格が異なるとしている。

ヘイズ氏の「ビットコイン100万ドル」予測は、こうした段階的な流動性拡大ではなく、2兆ドル(約300兆円)を超える危機対応型の流動性供給を前提としている。

もっとも、市場資金が実際にどこへ向かうかはなお不透明だ。Bitwiseの2026年調査では、財務アドバイザー299人のうち32%が、2025年に顧客口座へ暗号資産を組み入れたと回答した。暗号資産の投資理由では、ステーブルコインとトークン化に続き、「デジタルゴールド」や法定通貨価値の毀損への備えを挙げる回答が22%を占めた。

この結果からは、一部の機関投資家のポートフォリオで、ビットコインを通貨価値の下落に対するヘッジ手段とみなす発想がすでに織り込まれていることがうかがえる。

最終的な焦点は、AI投資を支えた債務の膨張とハイテク株の割高感が実際の信用イベントにつながるかどうかだ。加えて、危機対応で供給された資金が国債、現金、銀行準備、金にとどまるのか、それとも暗号資産市場にまで波及するのかも重要な論点となる。

ヘイズ氏の問題提起は、AI債務と流動性のひずみという点では一定の根拠がある。ただ、ビットコインが最終的な受け皿になるかどうかは、危機局面で投資家がどの資産を選好するかに左右される。

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