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SpaceX株を巡り、空売りが急速に積み上がっている。株価が短期間で約30%下落するなか、空売り比率は前取引日の8%から13%へ上昇した。市場では長期成長への期待よりも、当面のコスト負担や需給悪化を意識する動きが強まっている。

6月24日付の米メディアCryptopolitanによると、SpaceX株は6月12日の寄り付きで付けた高値を起点に、数日で約30%下落した。

取引開始直後には一時225.64ドルまで上昇したが、直近3営業日で時価総額は約6000億ドル減少した。このまま下落基調が続けば、時価総額は約1兆9500億ドルまで縮小し、取引開始後初めて2兆ドルを下回る可能性があるとの見方も出ている。

相場全体でも投資家心理は悪化した。同日、NASDAQ100は主要ハイテク株や半導体株の下落を受け、時価総額が1兆ドル超減少するとの観測が広がった。ただ、SpaceXは他の大型テクノロジー株と比べても、空売りの積み上がるペースが際立って速いとみられている。

市場データを手がけるOrtex Technologiesによれば、SpaceXの空売り比率は前取引日の8%から13%に急上昇し、取引開始直後には14%に達した。共同創業者のピーター・ヒラーバーグ氏は「これほど短期間で空売り比率が上昇するのは、追加下落に賭ける投資家が増えている明確なシグナルだ」と説明した。

S3 Partnersの集計でも同様の傾向が確認された。空売り残高は約4000万株で、実際の流通株式の約5~7%に相当すると推計している。

背景にあるのは、貸株条件の改善だ。S3 Partnersでリサーチ部門を統括するサム・ピアソン氏は「空売りに必要な株式へのアクセスは以前より改善している」と述べた。空売り投資家が負担する年率換算の貸株コストは約0.60%にとどまり、借株コストの低下が新規参入を後押ししているとの見方が出ている。

Ortexも貸株コストを約1%と算出した。貸し出し可能な株式のうち実際に借りられている割合を示す利用率は約39%で、追加的な空売り余地はなお大きいとしている。

こうした水準は、他の大型テクノロジー株と比べても目立つ。Apple、Microsoft、NVIDIA、Alphabet、Amazon、Meta、Teslaといった「マグニフィセント7」の空売り比率は多くが1~3%にとどまり、貸株コストも0.25~0.33%程度とされる。

デリバティブ市場でも、投資家の見方は弱気に傾いている。オプション市場では、SpaceX株が9月中旬までに130ドルを下回る確率を約40%織り込んでいる。とりわけ7~9月満期のオプションでは、下落局面で利益が出るプットの建玉がコールのほぼ2倍に達した。Interactive Brokersのシニアストラテジスト、スティーブ・ソスニック氏は「オプション取引は以前よりはるかに均衡した状態に移っている」との見方を示した。

もっとも、空売り筋にとってのリスクも残る。イーロン・マスク氏は長年にわたり空売りを公然と批判してきたうえ、機関投資家や個人投資家の大規模な買いが再び流入すれば、空売り勢が損失を被る可能性があるためだ。

足元の空売り急増は、SpaceXに対する市場の評価が変わりつつあることを映している。投資家はマスク氏が掲げる長期成長シナリオよりも、当面の巨額投資とコスト負担を重視し始めた。市場では、高成長のソフトウェア企業というより、大規模な資本投資を必要とする産業企業に近い見方へ修正する動きも出ている。

今後の株価は、成長期待が持ち直すのか、それともコスト負担への警戒が一段と強まるのかに左右されそうだ。

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