ビットコインは24日、一時5万9060ドル(約885万9000円)まで下落し、2026年の安値圏に再び接近した。ドル高に加え、ビットコイン現物ETFからの資金流出、Strategyの買い付けペース鈍化が重なり、投資家心理が悪化した。市場では、5万9000ドルを下値支持線として維持できるかに関心が集まっている。
ブロックチェーンメディアのCointelegraphによると、この日は原油価格が急落しても、ビットコインの反発は長続きしないとの見方が広がった。米国とイランが了解覚書を締結し、ホルムズ海峡が一時的に再開されたことで、インフレ圧力はやや和らいだが、ビットコインは6万ドルを回復した後も上昇基調を維持できなかった。
市場では、とりわけドル高が強く意識された。米ドル指数は主要通貨に対して13カ月ぶりの高水準まで上昇し、市場では米国経済への信認拡大のシグナルと受け止められている。一般にドル高局面はビットコインの重石となりやすく、今回も短期的な下押し要因となった。
安全資産にも弱さが目立った。金は7カ月ぶりに1オンス当たり4000ドル(約60万円)を割り込み、ブレント原油もイラン衝突前の水準に近い1バレル74ドル(約1万1100円)を下回った。希少性の高い資産全般への需要が弱まっている可能性を示す動きとみられている。
一方で、資金は引き続きテクノロジー株に向かったとの見方もある。AIインフラ投資の拡大を背景に一部ではキャッシュフローへの懸念が残るものの、相対的にはテクノロジーセクターへの選好が続いた格好だ。
金利環境もビットコインの追い風とは言いにくい。インフレが米連邦準備制度理事会(Fed)の目標である2%まで低下するには時間がかかるとの見方から、市場では高金利の長期化観測がくすぶっている。
米労働省が公表した失業保険申請件数は前週比4000件減となり、景気減速を強く示す内容ではなかった。こうした局面では、債券など利回り資産への選好が強まりやすい。
もっとも、流動性そのものが縮小したわけではない。23日に公表されたデータによると、米国のマネーサプライM2は5月に23兆500億ドル(約346兆円)となり、前月の22兆8000億ドル(約342兆円)から増加した。
市場流動性の増減が短期的にビットコイン価格へ直結するわけではない。ただ、資金が他の資産クラスへ移る過程で、ビットコインの優先順位が低下し得ることが改めて意識された。
テクノロジー株高もビットコインには逆風とされた。メモリー・ストレージ大手のMicronはこの日、堅調な四半期業績を示した。株価は直近6カ月で265%上昇し、時価総額は1兆1600億ドル(約174兆円)まで拡大した。
投資家の関心がテクノロジー株に集中したことで、ビットコインなど代替的な希少資産の相対的な魅力が薄れたとの分析も出ている。
市場心理をさらに冷やしたのが、Strategyの買い付け鈍化だ。マイケル・セイラー氏が率いるStrategyは、21日までの1週間に520BTCを追加購入したと公表した。
これは18カ月ぶりの最低水準の週次購入量に当たる。市場ではこれまで、Strategyの積極的な購入を需給の重要な変数とみてきただけに、購入ペースの鈍化が弱気心理を強めた。
ビットコイン現物ETFの大幅な純流出も重荷となった。MSTR株がビットコイン準備金の購入単価を下回って取引され、失望感が広がったことも、ビットコイン相場への下押し圧力を強めた。
こうした中、市場では5万9000ドルが目先の支持線として機能するかを注視している。もっとも、現時点ではこの水準を割り込む追加下落の可能性も排除しにくいとの見方が出ている。