CLARITY Actを巡る議会審議は難航する可能性がある。写真=Shutterstock

米暗号資産市場構造法案「CLARITY Act」を巡り、カトリック系指導者・団体の関係者82人が米国上院の超党派指導部に書簡を送り、法案の一部条項に反対を表明した。問題視しているのは、分散型暗号資産ソフトウエアの開発者を刑事責任の対象外とする条項で、不正資金の追跡が難しくなると訴えている。

ブロックチェーンメディアのDecryptが23日(現地時間)に報じた。書簡では、カトリック社会教説に照らし、経済システムは搾取ではなく正義に資するべきだと主張した。その上で、金融システムは富の創出や技術革新の有無ではなく、人命と人間の尊厳を守れるかどうかで評価されるべきだと強調した。

反対の対象となったのは、CLARITY Actに盛り込まれた「ブロックチェーン規制明確化法案(BRCA)」と呼ばれる部分だ。この条項には、分散型暗号資産ソフトウエアの開発者を刑事訴追の対象から外す内容が含まれている。カトリック系指導者らは、これにより組織犯罪や児童搾取、制裁逃れに関わる不正資金の流れを監視しにくくなるおそれがあると指摘した。

書簡は、信仰系ネットワーク連合が主導してまとめた。カトリック側は、CLARITY Actが米国内の幅広い暗号資産活動を認める方向の法案であるだけに、開発者免責の範囲が広がれば、犯罪に利用されるツールまで事実上保護されかねないとみている。

この論点は、最近の法執行機関の反発とも重なる。トランプ政権下の司法省は過去1年間、オンチェーン取引を秘匿できるソフトウエアを開発した暗号資産の開発者数人を拘束した。こうしたプログラムは、犯罪資金の調達や資金洗浄に利用されてきたとされる。

これに対し、分散型技術の支持者は、暗号資産ネットワーク上の取引は基本的に公開されていると反論する。銀行口座や現金と同程度のプライバシー保護を確保するには、こうしたツールが必要だという立場だ。

もっとも、BRCAは業界にとって譲れない重要項目でもある。暗号資産業界関係者の多くは、この条項が削除されれば法案全体を支持しない姿勢を示してきた。上院としては、宗教界や法執行機関の懸念を反映すれば業界の支持を失うおそれがある一方、業界の要求を受け入れれば不正資金の流れを助長するとの批判を招きかねない構図となっている。

CLARITY Actには、このほかにも複数の方面から注文が付いている。ウォール街は、ステーブルコインの報酬制限に関する文言の追加を要求。先住民部族は、予測市場事業者がスポーツを基盤とするベッティングを提供できないようにする条項を求めている。民主党議員の一部は、ドナルド・トランプ米大統領とトランプ一族による収益性の高い暗号資産事業を制限する内容を盛り込むべきだと主張している。

こうした状況を受け、法案審議の日程は一段と不透明になっている。業界では、来月中に法案が成立しなければ、11月の中間選挙を前にした政治日程の影響で年内成立が難しくなる可能性があるとの見方が出ている。今回のカトリック系による反対表明は、CLARITY Actを巡る最大の争点が技術規制の範囲を超え、不正金融の抑止と社会的責任の問題へ広がっていることを示している。

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