Ethereumでバリデーターの出金手続きを見直す動きが進む一方、新規バリデーターはステーキング報酬を受け取るまで約3週間待たされる状況が続いている。
ブロックチェーンメディアのCryptoSlateが10月15日付で報じたところによると、同日時点のEthereumステーキングの参加待機残高は128万2776ETH、推定待機期間は22日6時間だった。これに先立つ10月14日21時17分(UTC)時点では、待機残高は126万628ETH、推定待機期間は21日21時間としていた。
Ethereum改善提案「EIP-8061」は、バリデーターの参加上限を1エポック当たり256ETHに据え置く一方、出金上限を固定値からアクティブなステーキング残高に連動する仕組みに改める内容だ。1エポックは約6.4分で、参加処理能力が上限で維持される場合、1日当たり約5万7600ETHが新たにステーキングへ参加できる計算になる。
提案では、バリデーター統合にも別枠の処理能力を設ける。ステーキング規模を3600万ETHとした例では、出金処理能力は従来上限の約4倍、バリデーター統合の処理能力は約2倍に拡大する。ただし、出金が無制限に認められるわけではなく、処理上限はアクティブなステーキング残高に応じて変動する。
10月15日時点でEIP-8061は最終検討段階の「ラストコール」にあり、意見提出の締め切りは11月1日までとなっている。Ethereumの「Glamsterdam」ロードマップには同提案を盛り込む予定が示されているが、メインネットへの適用時期は第4四半期が見込まれているものの、具体的な日程は固まっていない。「Glamsterdam」のコンセンサス層フォーク「Gloas」についても、メインネットの有効化エポックは未定という。
新規バリデーターは有効化されるまで、ステーキング報酬を受け取れない。すでに稼働中のバリデーターは検証作業を通じてETH報酬を得るのに対し、新規の預け入れ分は実際に報酬が発生するまで待つ必要があり、その分の機会費用が生じる。
例えば32ETHを預けたバリデーターが、10月14日時点の推定待機期間である21.875日間を非稼働のまま過ごす場合、年率リターンが一定と仮定すると、同期間に稼働中バリデーターが得られる報酬は、年2%、3%、4%ベースでそれぞれ約0.038ETH、0.058ETH、0.077ETHとなる。さらに報酬手数料10%を反映すると、それぞれ約0.035ETH、0.052ETH、0.069ETHになる。Lidoのトークン統合ガイドには、この手数料率が明記されている。
もっとも、これは複利効果や各種コスト、税金、ペナルティ、代替収益を織り込まない単純計算だ。単独バリデーターであれば、同じ手数料を負担しない可能性もある。
Lidoのメインネット・コアプールにETHを預けると、利用者は流動性ステーキングトークン「stETH」を受け取る。預け入れた資金はプールのバッファにとどまるか、Ethereumのバリデーター参加待機に回るため、実際に報酬が発生するまで時間がかかる場合がある。
Lidoでは、利用者のトークン残高はプール全体に対する持分を反映する。この持分には、バッファ資金、稼働中バリデーターの残高、参加待機中の資金、直近の報告以降に預け入れられた資金などが含まれる。
一方、別建てのステーキングボルトは独立した担保・持分会計の仕組みを採用しており、こうした説明はコアプールに限られるとしている。
新規の預け入れ分は、資金が実際に報酬を生み始める前でもプールの持分を確保し、その後の報酬分配に参加できる。既存バリデーターの報酬規模が変わらないまま新規資金が流入すると、より多くの資本で既存の報酬を分け合う形となり、新規預入者と既存保有者の双方で資本当たりの報酬率が低下する可能性がある。
これは元本が直ちに目減りするという意味ではない。報酬をまだ生まない資金が加わることで、資本当たりの収益率が薄まる構図だ。