政府が進める国民向けAIサービス「みんなのAI」が、10月16日に非公開ベータを始める。SK telecom、KT、Kakaoの3コンソーシアムが関係者向けに先行提供し、科学技術情報通信部が各陣営の開発状況と運用体制を確認する。
科学技術情報通信部や関連業界などによると、非公開ベータの対象は各社の関係会社や公共機関の担当者ら。12月の正式公開を前に、サービスの完成度や利用体験を点検する段階と位置付ける。
「みんなのAI」は、国産AIモデルを基盤に、国民が幅広く利用できるサービスの整備を目指す政府事業。8月にはSK telecom、KT、Kakaoの3コンソーシアムを事業者に選定した。単純な質疑応答にとどまらず、予約やショッピング、公共サービスの申請などをこなすAIエージェントの実装を柱に据える。
正式公開後は、汎用AIチャットボットを国民向けに利用制限なしで無料提供する計画だ。今回の非公開ベータでは、正式提供に先立って主要機能と利用者体験を検証する。
◆SK telecom、電話実行まで担うAIを前面に
SK telecomコンソーシアムは、生活情報や公共情報を文脈に沿って案内し、その先の行動まで支援する「行動型AIアシスタント」を打ち出す。教育・次世代、金融・決済、小規模事業者、公共・ヘルスケア、ケア・福祉、投資・ベンチャー、AI技術・セキュリティ、ライフスタイルの8分野で構成する。
中核機能の1つは、AIが利用者に代わって直接電話をかけるサービスだ。飲食店の予約を依頼すると、AIが条件に合う店舗を探し、利用者の電話番号で発信して予約の可否を確認する。スマートフォンアプリに加え、電話やSMSでも使える設計とし、利用のしやすさを高める。
このほか、利用者の履歴書や関心のある職種を分析し、新たな採用情報を提案するパーソナライズ機能も開発している。将来的には、電話、SMS、Web、アプリなど複数の接点を通じてAIに用件を任せ、結果を確認できるサービスへの発展を目指す。
SK telecomの関係者は「今回のテストで主要機能と日常利用を想定したシナリオを点検し、利用者の意見を反映して12月の正式サービス開始に備える」と述べた。
◆KT、既存サービスにAIを組み込む「イウム・インサイド」
KTは、既存の生活サービスにAIを組み込む「イウム・インサイド」戦略を掲げる。専用のAIアプリを別途立ち上げなくても、買い物や検索など普段使うサービスの中でAI支援を受けられるようにする考えだ。
例えば、価格比較プラットフォーム「Danawa」で家電を検索すると、AIが複数商品の価格、消費電力、主要機能を比較する。「MUSINSA」「Zigbang」やポータル「Daum」との連携も進める。会話内容や生活習慣を記憶し、必要な情報を先回りして知らせる機能も準備しており、車両検査の期限案内、近隣検査所の予約、日程登録などを支援する想定だ。
また、NC AIの技術を活用した画像・3Dコンテンツ生成機能も、12月の正式サービスに反映する予定。複数の国産AIモデルを効率よく接続する「トークン・ファクトリー」も構築し、安定したサービス提供につなげる。
◆Kakao、KakaoTalk起点でAIエージェントの基盤構築
Kakaoは、KakaoTalkを起点に、外部企業や開発者が参加できるオープンなAIプラットフォームの構築を目指す。Kakao版の「みんなのAI」は、KakaoTalkから接続する方式と、独立したWeb画面で利用する方式の両面で開発を進めている。
利用者が最初から使うツールを指定したり、依頼内容をあらかじめ整理した文章にしたりしなくても、対話を通じて条件を具体化できる設計を採る。例えば「子どもと一緒に行ける展示はある?」と尋ねると、日付や移動距離、同伴条件などを追加のやり取りで絞り込む。さらに、周辺の飲食店検索、候補比較、予約までつなげる構想だ。
この過程では、直前の会話で決まった日程や人数などの文脈を維持し、同じ情報を繰り返し入力する手間を減らす。予約など実行段階に移る前には、条件や金額をあらためて利用者に確認する。もっとも、実行機能は初期ベータでは限定提供とし、段階的に拡張していく方針だ。
あわせて「AIエージェント・マーケットプレイス」も打ち出す。外部開発者やスタートアップが作成したAIエージェントを登録し、利用者がアプリストアでアプリを選ぶように必要な機能を選択して使える仕組みだ。外部開発者向けの「Play MCP」とマーケットプレイスを連携し、個人情報へのアクセス権限やエージェントの検証体制も整備している。