Gemini共同創業者のタイラー・ウィンクルボス氏が、プライバシーコイン「Zcash(ZEC)」を巡る現在の市場環境について、2019年のBitcoinに近いとの見方を示した。価格の急反発に加え、取引所による対応拡大やプライバシー技術への関心の高まりが、その背景にあるという。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが9月30日(現地時間)に報じた。ウィンクルボス氏は、Zcashを巡る足元のセンチメントが、2019年当時のBitcoin市場と重なると指摘した。
Zcashはプライバシー機能を重視する暗号資産として知られる。足元では上昇基調を強め、市場の関心を集めている。ウィンクルボス氏は、こうしたZcashへの注目の高まりが、当時のBitcoinに向けられた期待感と似ているとみている。
2019年のBitcoinは、2018年の弱気相場を抜けた直後に当たる。2017年の過熱相場の反動で価格が大きく下落し、個人投資家の熱狂も一服していた時期だ。
CoinGeckoの集計によると、Bitcoinは2019年1月1日時点の約3693ドルから、同年6月末には約1万3000ドルまで上昇した。その後は上昇分の一部を失いながら推移し、2020年は約7195ドル水準で迎えた。
当時のBitcoin市場では、価格動向だけでなく、機関投資家向けインフラやカストディといった基盤整備も大きなテーマとなっていた。ウィンクルボス氏の発言は、現在のZcashについても、単なる値上がり銘柄ではなく、投資対象としての側面と技術的な評価が並行して進んでいる点を示唆したものといえる。
もっとも、プライバシーコインはこれまで規制面の負担から、曖昧な立ち位置に置かれてきた。プライバシー保護を重視する声がある一方で、一部の取引所は規制当局の監視を理由に、プライバシー重視の暗号資産を上場廃止したり、取り扱いを停止したりしてきた。
その中でZcashは、2026年に入って再び注目を集めている。1月に約511ドル近辺で取引を開始した後、急速に調整が進み、2月には約27%下落して一時191ドル前後まで値を下げた。
その後は5月から反発が鮮明になった。5月の上昇率は月間で60%を超え、月中には680ドルを上回った。月末は約565ドル水準で取引を終えた。
上昇は夏場以降にさらに勢いを増した。8月には約457ドルから848ドル前後まで上昇し、上昇率は約85%に達した。
9月に入っても急騰基調は続いた。月初に1000ドルを突破し、9月16日には1335.51ドルまで上昇した。Zcashが再び注目を集めた背景には、価格反発に加え、プライバシー技術への関心回復もある。
Geminiも、Zcash対応を段階的に広げてきた。2018年には、ニューヨーク州金融サービス局(NYDFS)の承認を受け、Zcashの取引とカストディを提供する最初の認可取得取引所となった。
さらに2025年8月にはZcashの統合アドレスをサポートし、3カ月後には新たなプライバシープロトコル「Orchard」を導入した。
2026年に入ってからも支援範囲は拡大している。Geminiは1月27日、Zcash専用のクレジットカードを投入。9月29日には、Zcashブロックチェーンと連携する自社インフラを、新たなオープンソースのフルノード「Zakura」ベースへ切り替えたと発表した。
こうした流れを踏まえると、今回のZcashの反発は、単なる価格急騰ではなく、取引所の支援拡大とプライバシー技術の再評価が重なった動きといえる。Geminiが取引・保管支援にとどまらず、アドレス体系、プライバシープロトコル、ノードインフラまで対応領域を広げている点は、今後のZcashエコシステムの持続性を見極める上での注目点となりそうだ。
ウィンクルボス氏はXへの投稿で、「きょうX上で見られるZcashのネイティブなセンチメントは、私が暗号資産に関わり始めた2019年当時のBitcoinの感覚に近い」と述べた。