欧州のステーブルコイン発行会社AllUnityは9月30日(現地時間)、米ドル連動のステーブルコイン「USDAU」の発行を開始した。これにより、欧州連合(EU)の暗号資産市場規制「MiCA」に準拠した同社の法定通貨担保型ステーブルコインは4通貨体制となった。
USDAUは、分別管理された準備資産を裏付けとし、米ドルと1対1の価値維持を目指す。発行初期の対応ネットワークはEthereum、Solana、Base、Tempo、Arq、Polygonとなる。
AllUnityはすでに、ユーロ連動の「EURAU」、スイスフラン連動の「CHFAU」、スウェーデンクローナ連動の「SEKAU」を発行している。今回、これに米ドル建てのUSDAUを加えた。
背景には、世界のステーブルコイン市場で米ドル連動型が圧倒的な比重を占めている現状がある。CoinGeckoによると、ステーブルコインの時価総額は2910億ドル(約43兆6500億円)で、このうち米ドル連動トークンが99%超を占める。
一方、欧州では、こうした市場構造がトークン化金融におけるドル依存をさらに強めるとの懸念も根強い。欧州中央銀行は6月、欧州のトークン化金融でドル建てステーブルコインの利用が広がれば、ドル依存が深まり、ユーロの役割が弱まる可能性があると警告していた。
今回のUSDAU投入は、欧州の規制枠内でドル流動性をどう確保するかという論点とも重なる。
AllUnityの最高経営責任者(CEO)、アレクサンダー・ホプトナー氏は、問題はドル建てであること自体ではないと説明した。懸念されているのは、欧州の監督当局の管理が及ばず、償還請求権の行使や準備資産の透明性確保にも限界がある域外発行体を通じて、ドル流動性が流入することだという。
その上で同氏は、USDAUがそうした課題への対応策になり得るとの見方を示した。欧州の規制の下でドル流動性を取り込み、欧州企業が国際貿易や越境決済で必要とするドルにアクセスしやすくする狙いがあるとした。
ドル建て決済への需要は維持しながら、発行・償還や準備資産の管理には欧州の規制基準を適用する方針だ。
既存銘柄の規模には差がある。CoinGeckoによると、EURAUの時価総額は約40万ドル(約6000万円)、CHFAUは約4500万ドル(約67億5000万円)。ドル需要が集中する市場で、USDAUがどの程度のペースで流通規模を拡大できるかが焦点となる。
欧州の規制当局や中央銀行関係者は、MiCAにおけるステーブルコイン関連の詳細基準の見直しを続けている。AllUnityのUSDAUは、欧州域内の企業需要と規制議論の双方を映す事例として注目されそうだ。