ストリーミング業界で大型の買収・統合が相次いでいる。コンテンツと流通網が少数の大手企業に集約されることで、消費者の選択肢が狭まり、値上げ圧力が強まるとの懸念が広がっている。
米ITメディアのArs Technicaは9月30日(現地時間)、ABCの番組「Jimmy Kimmel Live!」の放送中断をきっかけにDisney離れの動きが起きた事例を挙げ、メディア企業の巨大化が消費者行動にも影響を及ぼしていると報じた。Disneyを避けようとすると、対象はDisney+にとどまらず、Hulu、ABC、FX、ESPN、さらには多数の映画やキャラクターフランチャイズにまで及ぶという。
スポーツ配信サービスのFuboも、その象徴的な事例として取り上げられた。Fuboは2024年、Disney、Fox、Warner Bros. Discoveryによる共同スポーツ配信サービスが競争を制限するとして提訴した。
ただ、その翌年には状況が一変した。DisneyがHulu+ Live TVとFuboを統合し、新会社株式の約70%を保有する取引で合意したことで、関連訴訟は終結した。両社はこの統合について、消費者の選択肢を広げるものだと説明している。
一方で、料金負担の拡大を懸念する見方もある。Ars Technicaによると、Fuboは今年、NBCUniversalとの契約紛争を解消して一部チャンネルの配信を再開した後、月額料金を15ドル(約2250円)引き上げた。Fuboは、コンテンツ調達コストの上昇分を一部加入者の料金に反映せざるを得なかったと説明したという。
業界再編はなお拡大している。Paramount Skydanceは今月6日、Warner Bros. Discoveryの買収を完了する予定で、取引が成立すればParamount+、HBO Max、Discovery+、CNNが同一企業の傘下に入る。
Foxも約220億ドル(約3兆3000億円)でRokuを買収することで合意した。これにより、広告型無料配信サービスのTubiとThe Roku Channelは同じオーナーの下に置かれる見通しだ。
こうした大型化は、複数のサービスを一元的に利用できる利便性を高める可能性がある。その半面、競合が減れば、値上げやコンテンツ削減が起きた際に他サービスへ移行しにくくなる恐れもある。
Ars Technicaは、収益性の確保を狙うストリーミング企業の再編が、結果として消費者に一段の値上げと選択肢の狭まりをもたらす可能性があると指摘した。