ParamountによるWarner Bros. Discovery(WBD)買収が最終局面に入った。市場の関心は、デービッド・エリソン氏(David Ellison、Paramount Skydance最高経営責任者)が、NetflixやYouTubeに対抗する新たなストリーミング戦略をどう構築するかに移っている。
9月30日(現地時間)、Business Insiderによると、Lightshed Partnersのアナリスト、リッチ・グリーンフィールド氏(Rich Greenfield)は、Paramount SkydanceがWBD買収に動いた背景の一つとして、配信規模の早期拡大を挙げた。Paramount単独ではNetflixに追いつくのが難しく、WBD買収によってコンテンツ資産と利用者基盤を短期間で広げようとしたとの見方だ。
ただ、統合後の配信サービスをどう設計するかは、なお固まっていない。Paramount+とHBO Maxを単一サービスに統合するのか、HBOブランドを維持するのか、料金体系をどう組むのかなど、主要な判断は先送りされたままだ。Paramountも従業員に対し、具体的な統合案は現在検討中だと説明している。
グリーンフィールド氏は、両サービスを単純に一体化するだけでは、NetflixやYouTubeに対抗できる水準の競争力は確保しにくいと指摘する。視聴時間を伸ばし、レコメンド精度を高めるには、より幅広いコンテンツ群が必要だという。ユーザーが多様なジャンルや形式の作品に触れるほど、推薦アルゴリズムが学習できるシグナルも増えるためだ。
同氏が打開策として示すのが、「プラットフォーム化」である。自社の映画やドラマにとどまらず、外部制作会社やクリエイターの作品、短尺動画まで取り込み、配信サービスそのものをより開かれた構造へ転換すべきだとの主張だ。
実際、Paramount+は無料プランのほか、縦型の短尺動画、マイクロドラマ、ユーザー制作コンテンツなどを試しており、YouTubeに近いサービス構造を模索しているという。
AIによる映像生成も、新たな変動要因になりそうだ。グリーンフィールド氏は、大規模なAI映像制作のコストが今後12〜18カ月で大きく下がる可能性があるとし、その場合はコンテンツ供給が急増し、YouTubeのような開放型プラットフォームが最も大きな恩恵を受けるとの見通しを示した。
エリソン氏に問われるのは、ParamountとHBOの有力コンテンツを束ねることだけではない。買収で得た規模を実際の視聴時間やエンゲージメント拡大につなげ、さらに外部コンテンツまで包含するプラットフォームへ進化できるか。そこが、NetflixやYouTubeとの競争力を左右することになりそうだ。