ロシアは10月1日、重量250g超の民間ドローンについて、国家テレマティクス基盤「ERA-GLONASS」への接続が確認できない機体の飛行計画を受理しない運用を開始した。既存の遠隔識別制度を実質的に飛行許可手続きに組み込む措置となる。
TechRadarによると、ドローン所有者は飛行計画を提出する際、ERA-GLONASSのアカウントが有効化されていることを確認される。接続が確認できない250g超の民間ドローンは、飛行計画の受け付け対象外となる。
今回の措置は、新たな追跡制度を導入するというより、今年3月に始まった遠隔識別の仕組みを飛行許可の運用に直結させるものとみられる。ロシア政府は2月の政府令に基づき、3月1日から250g超の民間ドローンに対し、識別番号や機体種別、位置座標、高度などの情報をERA-GLONASSへ送信するよう義務付けていた。
ERA-GLONASSはもともと、自動車事故発生時の緊急通報を処理する国家システムとして整備された。その後、民間無人機向けの統合識別基盤へと対象を広げた。携帯通信網や衛星・ハイブリッド追跡端末、ADS-Bなど複数の機器から情報を取得し、監督当局や航空交通当局に伝達できるとされる。
一方で、ロシア側が示す処理能力に比べ、実際の普及は限定的だ。JSC GLONASSの最高経営責任者(CEO)、アレクセイ・ライケビチ氏は1月、陸上・水上・空中の民間無人機を最大100万機までリアルタイムで監視できると説明した。しかし、9月時点の接続利用者は1027人、登録ドローンは1205機にとどまっている。
また、ドローンを強制的に停止させたり、着陸させたりする機能の有無はなお不透明だ。ロシア当局者はこれまで、非常時にドローンの移動を止めたり、特定地域の機体を一括で着陸させたりする機能に言及してきた。ただ、公開されている政府令では、主としてドローンから国家システムへ位置情報や識別情報を送る枠組みが定められており、ERA-GLONASSが機体に対して直接、飛行中断命令を送る仕組みは明確ではない。JSC GLONASSも6月、いわゆる「レッドボタン」は今後導入する機能だと説明している。
ロシアは、中央集権型の識別システムを通じて民間ドローンの位置と運航主体をリアルタイムで把握し、長期的には地域ごとの飛行制限の緩和につなげる構想を示している。もっとも、追跡義務の強化が民間ドローン産業の拡大と国家による統制のバランスにどのような影響を与えるかが、今後の焦点となりそうだ。