画像=Toss。「App in Toss」はミニアプリを「公開」「推薦」「ブースティング」の3段階で運用する。上位区分ほど検索やレコメンド面での表示機会が広がる。

Tossは、追加アプリのインストールなしで使えるミニアプリ基盤「App in Toss」の運用を見直し、量的拡大から成果重視へと軸足を移す。これまでの掲載拡大を優先する方針から、今後はユーザー体験や実利用で評価の高いミニアプリに、より多くの表示機会を配分する仕組みに切り替える。

同社によると、10月22日からミニアプリの表示基準を「公開ミニアプリ」「推薦ミニアプリ」「ブースティングミニアプリ」の3段階に改める。対象は新規アプリだけでなく、すでに提供中のミニアプリにも及ぶ。

まず、内部審査を通過したミニアプリは「公開ミニアプリ」として扱う。Tossアプリ内の検索や共有リンク経由で利用できるが、主要なレコメンド面に自動で掲載されるわけではない。

次の段階である「推薦ミニアプリ」に進むには、追加の要件を満たす必要がある。ユーザー体験(UX)、利用実績、利用者レビュー、サービス性能などを基準に選定し、ミニアプリストアやTossの全体タブでの紹介頻度を高めるほか、検索結果でも優先的に表示する。

さらに、推薦ミニアプリの中から再訪率や購入・予約への転換率がカテゴリ上位のサービスを対象に、Toss側が実利用ベースで評価し、「ブースティングミニアプリ」を選ぶ。選定されたアプリは、Tossホームと全体タブ上部の専用レコメンド枠に掲載される。

このため、同じ「App in Toss」に公開されているミニアプリでも、ユーザーの目に触れる機会には大きな差が生じる可能性がある。

実際、露出差は小さくない。Tossによると、ベータ運用期間中はブースティングミニアプリの表示回数が、推薦ミニアプリに比べて約20倍に達した。単に公開されるだけでなく、推薦表示に進めるか、さらにブースティングに選ばれるかが、ユーザー獲得に直結する構図だ。

こうした基準見直しの背景には、ミニアプリ数の急増がある。「App in Toss」のミニアプリは、昨年7月の約100件から、今年8月には1万件を超えた。

「App in Toss」は、開発者が個別提携や別途契約を結ばずにミニアプリを作成し、審査を通過すれば公開できるオープンプラットフォームだ。パートナー企業は、新たなアプリをインストールさせることなくTossアプリ内でサービスを提供でき、約3000万人のユーザーとの接点を持てる。

サービス初期には、パートナーが短期間で公開できるよう一部基準を柔軟に運用していた。しかし足元では、ミニアプリ数の増加を受け、品質管理と表示優先順位の選別を強める段階に入ったとしている。

Tossは、表示基準の改定に合わせて運用基準も厳格化する。同日から約1カ月にわたり、運用中のすべての非ゲーム系ミニアプリを対象に、公開ガイドラインの順守状況を順次点検する。

同社は、サービス初期にはパートナーの迅速な公開を支援するため、一部基準を期限付きで柔軟に適用していたと説明。その一方で、提供中のミニアプリと利用者が増えるなか、全サービスに同一の品質基準を適用する必要があるとしている。

点検の結果、修正が必要と判断されたミニアプリは、結果通知日から14日以内に再審査を申請し、承認を得なければならない。期限内に承認されない場合は非表示となるが、その後に承認されれば自動的に表示を再開する。

ミニアプリ事業者の集客手段も変わる。「App in Toss」は10月1日から、スマート配信による広告目的のプッシュ通知・アラート運用を終了する。

Tossはこれまで、利用者が受け取る通知総量を増やさない範囲で広告性通知を運用してきたが、登録クリエイティブの増加に伴い、実際には配信できない素材も増えていたと説明した。サービス利用に必要な機能性プッシュ通知・アラートは、従来通り維持する。

一方、Tossアプリ内で利用者を呼び込む導線は拡充する。ミニアプリの利用でポイントを付与する「ミニアプリを見てポイント獲得」プロモーションや、Tossアプリ内の広告商品が代表例だ。

なかでも、「ミニアプリを見てポイント獲得」が表示されるTossの特典タブ内「多様な特典ミッション」領域では、1日当たり約60万PVが発生する。利用者が関心のあるミニアプリを選び、一定時間利用するとポイントが付与される仕組みだ。

一連の見直しは、「App in Toss」が外部サービスの受け皿にとどまらず、ミニアプリの露出と成長を直接管理するプラットフォームへ移行していることを示している。

この点では、Apple App StoreやGoogle Playなど既存のアプリマーケットに近い側面もある。アプリマーケットでも、登録そのものより検索結果やレコメンド面での表示が利用者獲得に大きく影響するためだ。ただし「App in Toss」は、別アプリをインストールせずにToss内ですぐ利用できる点で、既存のアプリマーケットとは構造が異なる。

業界関係者は「Tossのミニアプリは、掲載拡大の段階を過ぎ、成果を競うフェーズに入った」としたうえで、「今後はTossに載ること自体よりも、再訪を促し、実際の行動につなげられるかが重要になる」と話した。

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