Amazon Web Services(AWS)は9月30日、Anthropicの生成AIモデル「Claude Opus 5」と「Claude Sonnet 5」を、Amazon Bedrockを通じてAWSアジア太平洋(ソウル)リージョンで利用可能にしたと発表した。これにより、韓国の企業や機関は、同国内で推論処理を行いながらClaudeを活用できるようになる。
AWSによると、韓国内でデータを処理できる生成AIへの需要は、業種を問わず広がっている。AIベースの製品や社内ツールを開発する企業では、Claudeを低遅延で利用したいニーズが強い。遠隔リージョンとのデータ往復が不要になることで、応答速度の改善も見込めるという。
特に、金融、公共、ヘルスケアなど規制の厳しい分野では、生成AIの導入にあたり、厳格なデータ保護や各種規制への対応が求められる。AWSは、データを韓国内で処理できることが、こうした要件への対応に役立つとしている。スタートアップやデジタルネイティブ企業にとっても、国内処理を求める顧客向けサービスを提供しながら、先進モデルを活用して製品の差別化を図れる点がメリットになる。
最新のClaudeモデルの推論をソウルリージョンで処理することで、推論プロセスと顧客データを韓国内にとどめられる。金融や公共などの利用企業は、データレジデンシ要件を満たしつつ、最新のAIモデルを業務に適用しやすくなる。
利用企業は、複雑なエージェント型コーディングやエンタープライズ業務向けにはClaude Opus 5を、コーディング、文書処理、顧客対応アプリケーションなど、性能と速度のバランスが求められる本番ワークロード向けにはClaude Sonnet 5を選択できる。導入に伴う追加のインフラ変更は不要で、利用者が自社に適したリージョン別の推論プロファイルを選べば、ルーティングはAmazon Bedrockが自動で処理する。
AWSによると、韓国内ではすでに建設、製造、通信など幅広い業種で、Amazon Bedrock上のAnthropic「Claude」を活用したサービス構築が進んでいる。
Samsung C&Tは、Amazon Bedrockで提供されるClaudeを活用し、文書容量の制限なく全量を分析できる環境と、エージェンティックAIの体制を整備した。これにより、入札案内書(Invitation to Bid、ITB)や契約書のレビュー業務を高度化したという。
HD Hyundai Heavy IndustriesはAWSと協業し、AnthropicのAIコーディングツール「Claude Code」をAmazon Bedrock経由で導入した。現在は、DX・AX関連組織や研究員など、1,200人超の開発者が自然言語によるコード作成、レビュー、修正に活用しているとしている。
Hanwha Solutionsは、リサーチ、文書分析、報告書作成をAIで支援するエージェント型AIデスクトップアプリ「Claude Cowork」を導入した。Amazon Bedrockを基盤とするエンタープライズガバナンス環境の下で、全社AIアシスタントの標準として採用している。
AWS Korea代表のハム・ギホ氏は、「韓国企業はAIを迅速に導入する準備ができており、ビジネスに必要なセキュリティと統制を確保しながら、業務に適したモデルを選べることが重要だ」とコメントした。その上で、「Claude Opus 5を含むAnthropicのClaudeモデルをAWSアジア太平洋(ソウル)リージョンで利用可能にしたことで、韓国企業や金融・公共など規制の厳しい分野の顧客は、国内処理要件に対応しながらAIアプリケーションを構築できるようになった」と説明した。
Anthropic Korea代表のチェ・ギヨン氏は、「韓国は世界でも高度なAI市場の1つであり、AI導入のあり方に対して非常に高い基準が求められる市場だ」と述べた。さらに、「韓国内での推論処理に対応したことで、Claudeを基盤にサービスを構築する企業や機関にとって大きな障壁が取り除かれた。銀行、病院、公共機関など、生活に密着した組織でも、機微データを国外に出さずにClaudeを導入できるようになる」とした。加えて、「Anthropicはソウルのチームを継続的に拡大するなど、韓国への投資を強化しており、すでに多くの顧客が実務でClaudeを活用している」と述べた。