写真=Boeing(米海軍向け無人空中給油機「MQ-25 Stingray」)

米空軍が、次世代空中給油機の無人化を視野に入れた検討を進めている。背景には、米海軍で無人空中給油機「MQ-25 Stingray」の開発が前進していることがある。

米国の国防専門メディアDefense Oneなどによると、米空軍航空機動軍団(AMC)司令官のダニエル・タリー中将は、「エア・スペース・サイバー2026」カンファレンスで、将来の空中給油能力は必ずしも有人機に限る必要はないとの認識を示した。

タリー司令官は、次世代給油機にはネットワーク化と自己防衛能力が必要だと指摘。そのうえで、有人、有人・無人両用、自律型のいずれが適切か、あるいは複数の方式を組み合わせるべきかを比較検討すべきだと説明した。

米空軍は現在、BoeingのKC-46 Pegasusを導入している。2026会計年度には新型給油機の検討費として1200万ドル(約18億円)を計上したが、2027会計年度の予算案ではこの関連予算を計上しなかった。一方で、「先進給油システム」の名目で1300万ドル(約19億5000万円)を要求している。

こうした議論の背景にあるのが、海軍のMQ-25だ。2026年初めに初飛行した同機は、最近になって低率初期生産(LRIP)の承認を取得した。海軍はさらに3機を追加発注しており、発注済みの機数は計14機となる。

もっとも、空軍が求める給油機の規模は海軍とは大きく異なる。KC-46は約96トンの燃料を搭載し、航続距離は1万1900kmに達するのに対し、MQ-25の飛行距離は約800km、燃料搭載量は最大7.5トンにとどまる。

タリー司令官は、空軍が必要とする作戦半径に対応する無人給油機は「超大型機にならざるを得ない」と指摘した。こうした大型機を完全自律で運用する段階には、まだ至っていないとの見方も示した。

一方、業界では技術的な隔たりは縮小しつつあるとの見方もある。自律飛行システムを手がけるMerlin Labsのマシュー・ジョージCEOは、C-130J級の機体への自律飛行の適用を進める考えを示し、まずは乗員が搭乗した状態で自律機能を段階的に導入し、将来的に無人給油機に近づけていくと述べた。

ジョージCEOは、悪天候時の迂回判断など、緊急時の意思決定が最大の難関だと説明した。あわせて認証も重要な論点だとし、「認証と安全性が確保されなければ意味がない。今年は空軍と緊密に認証作業を進めている」と強調した。

Merlin Labsの技術はすでにコア設計審査(CDR)を終えている。計画通りに進めば、自律飛行システムが実運用中の米空軍機を完全制御する初の事例となる。飛行時期は公表されていない。

キーワード

#米空軍 #次世代空中給油機 #空中給油 #無人機 #MQ-25 #KC-46 #Merlin Labs #自律飛行
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.