MetaのAIエージェントアプリ「Muse」が、米国の無料アプリランキングでOpenAIの「ChatGPT」を上回り首位に立った。累計ダウンロード数は340万件を超え、個人向けAIアシスタント市場で存在感を強めている。米Business Insiderなどが9月25日に報じた。
Museは、ウェブ上での操作を自動化するAIエージェントアプリだ。クリックや入力を肩代わりし、図書館の本の予約、メール返信、電子書籍の送信、複数アプリをまたぐ細かな作業などをこなす。
Museは9月8日の公開後、米App StoreとGoogle Playの無料アプリランキングで首位に浮上し、その後も首位を維持している。市場調査会社Sensor Towerによると、累計ダウンロード数は340万件超。公開後2週間の1日当たり平均ダウンロード増加率は55%で、ChatGPTの公開初期10日間の24%を大きく上回った。提供地域は米国とカナダに限られている。
Metaは9月23日に開催した年次開発者会議「Meta Connect」で、Museの新機能を披露した。アバターを使ったビデオチャット、Macの操作支援、専用メールアドレス、スマートグラスとの連携計画などを公表。たまごっち風の専用デバイス「Muse Charm」も公開した。イベント直後には、Museの日間アクティブユーザー数(DAU)が27%増えた。
Museは、Metaがこれまで推し進めてきたメタバース路線とも性格を異にする。メタバースは高価なVRヘッドセットを必要とし、新たな利用習慣も求められた。一方のMuseはスマートフォンですぐ使え、既存の作業をより簡単にする点に軸足を置く。MetaはMuseの自社VRグラス製品への搭載を進めるとともに、航空券予約や食料品注文、商品購入など、より多くのサービスとの連携も拡大している。
Metaの強みは、自社プラットフォームを通じた拡散力にもある。Instagram、Facebook、WhatsAppの1日当たり利用者数は合計で30億人を超える。週次利用者が10億人規模に達したChatGPTでも、この規模に対抗するのは容易ではない。Metaは公開翌日から自社プラットフォーム上でMuseの広告展開を強化し、9月22日時点で広告支出上位10ブランドに入った。
Museの急伸に対し、OpenAIは現時点で真正面から競合する製品を投入していない。サム・アルトマンCEOはXで翌週の大型発表を予告しており、9月29日に開くDevDayで競合製品を発表する可能性があるとみられている。市場ではスタートアップの「Instinct」、SpaceX AIの「Grok Bot」、Googleの「Gemini Spark」なども参入。Museの成功をきっかけに、AIエージェント市場への関心が一段と高まるとの見方が専門家の間で広がっている。
もっとも、初期のダウンロード数だけでMuseの成功を判断するのは時期尚早との見方もある。Sensor Towerの副社長、シーマ・シャー氏は「チャットボットでも利用の深さや離脱率、継続率にはばらつきがある」とした上で、「現時点でこれらの指標で最も先行しているのはChatGPTだ」と指摘した。外部要因もある。AppleやGoogleがOSの方針を変えれば、エージェント機能が制限される可能性がある。AmazonはすでにMuseによる自社ショッピング利用を遮断した。