【マウイ(米国)】Qualcommは「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」のベンチマークセッションを開き、リファレンス端末を使った実測結果を公開した。記者団による検証では、多くの項目が同社の提示した期待レンジにおおむね収まった一方、3DMarkの「Wild Life」とAIベンチマークの「AI Mark」は期待値を下回った。
検証には、「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」を搭載したQualcomm Reference Design(QRD)端末を使用した。Qualcommによると、端末はTSMCの2ナノプロセスで製造したチップと24GBメモリを備える。期待レンジは、各ベンチマークを3回実行した平均値を基準に設定した。
CPU性能を測るGeekbenchでは、6.5のシングルコアが4308点となり、Qualcomm提示の下限を下回った。マルチコアとGeekbench 7.0も下限をやや下回ったが、差はいずれも1%未満にとどまった。
一連のCPU系テストが下限寄りとなった背景については、Qualcomm側が3回平均を基準にしているのに対し、現場では連続実行で測定したことが影響した可能性もある。
一方、Webブラウザの応答性能を測るSpeedometer 3.1は60.8点で、Qualcomm提示の上限を上回った。CPU系の測定で上限を超えたのはこの項目だけで、Web応答性能に関してはQualcommの想定が比較的保守的だった可能性がある。
総合性能を測るAnTuTu v12は、今回のテストの中で最も測定時間を要した。CPU、GPU、メモリ、ストレージを総合評価するベンチマークで、測定後の端末は強い発熱が確認された。スコアはQualcomm提示の下限にわずかに届かなかったが、差は小幅だった。
GPU性能は3DMarkで測定した。オフスクリーン方式のため、ディスプレイの解像度やリフレッシュレートの影響を受けにくい条件で比較できる。高負荷シーンを描く「Steel Nomad」と、レイトレーシングを含む「Solar Bay Extreme」はいずれも期待レンジ内に収まり、Qualcommが訴求するGPU性能の向上を一定程度裏付ける結果となった。
その一方で、モバイルゲームに近い負荷を想定した「Wild Life」は期待レンジを下回った。「Wild Life Unlimited」は下限比で約8%低く、「Extreme Unlimited」も約2%低かった。実際のゲーム体験への影響については、市販端末での確認が必要になりそうだ。
AIベンチマークでは、スマートフォン上でAIモデルをどれだけ高速に処理できるかを検証した。AITuTuでは、コンピュータビジョンを測るCV項目が期待値をわずかに上回り、大規模言語モデルを測るLLM項目は期待値との差が1%未満だった。画像内容を説明するAI Mark VLMは期待値と同水準だった。
AI Markを除くAI関連の項目は、総じて期待値に近い結果となった。一方でAI Markは、この日実施したAIベンチマークの中で最も乖離が大きかった。Qualcomm関係者は「AI性能はエンドツーエンド最適化やソフトウェア、利用するモデルの種類によって変わるため、ベンチマークだけでプラットフォーム改善を完全に検証するのは難しい」と説明した。
今回の測定を総合すると、Qualcommが示した期待レンジは、Wild LifeとAI Markを除けば実測値とおおむね一致した。ただし、すべての項目が同社の提示値を満たしたわけではない。Qualcommもセッションで、ベンチマークスコア以上に、消費者が実際に使う機能や体験が重要だと強調した。
Qualcommは今回、「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」とあわせて、OEMの選択肢を広げるマルチフラッグシップ戦略も打ち出した。「Snapdragon 8 Elite Extreme Gen 6」は、主要グローバルOEMやスマートフォンブランドのフラッグシップ端末に採用される予定だ。