【マウイ(米国)】Qualcommは9月23日(現地時間)、米ハワイ州マウイで開催した「Snapdragon Summit 2026」で、Snapdragon X2 Plusを搭載したMicrosoft製PC「Surface Pro」12インチと「Surface Laptop」13インチを公開した。2製品は前世代比でローカルAI推論性能を80%、GPU性能を最大55%高めたという。
同社はイベントで、Snapdragon X2シリーズの中核テーマとしてエージェント型AIを提示した。複雑な処理をPC上で直接こなすオンデバイスAI基盤として、ハードウェアとソフトウェアの両面から対応を強化する方針を示した。
Qualcommによると、新たに公開したSurface 2機種は、より多くのAI処理を端末内で完結できるよう設計した。ネットワーク接続の有無に左右されずAI機能を利用できる点を訴求する。
エージェント型AIが複数段階のタスクをPC内で処理するには、トークン生成速度と扱えるコンテキスト長の両方が重要になる。X2シリーズでは、オンデバイス環境で前世代比最大2倍のトークン処理性能を実現し、最大20万のコンテキスト長をサポートするという。
コンテキスト長の拡大により、AIエージェントはより長いワークフローを推論し、多くの情報を保持しながら、精度の高い処理を実行できると同社は説明する。処理を端末内で完結させることで、クラウド利用コストや遅延の抑制に加え、データを端末外に出さずに済む利点もあるとしている。
会場では、ISV各社がSnapdragon搭載PCで動作するエージェント型AIのデモを披露した。AnythingLLMと写真編集ソフト「ON1 Photo RAW」を組み合わせたデモでは、大量の写真ライブラリを簡単な指示だけで検索・整理する様子を紹介した。
Clairvoyance AIは、タスクを複数のモデルに振り分け、必要な場合にのみ上位モデルへ引き渡す階層型エージェント構造を公開した。Deepgramは、ポッドキャストの会話をリアルタイムで文字起こしし、音質に関する警告を表示するデモを実施した。PokeeとHaloは、ビデオ会議中のディープフェイクを監視し、脅威に即応するセキュリティエージェントを紹介した。
Qualcommは、こうした事例を人とAIエージェントの協働を前提としたPCプラットフォームの具体例と位置付ける。現在、Snapdragon搭載PCで利用可能なアプリケーションは7300本を超えるという。
対応OSの広がりも進む。DellとHPは、Snapdragon X Eliteを搭載したGooglebookのノートPCを会場で披露した。
GooglebookはGemini Intelligenceを念頭に設計したノートPCで、Androidアプリをネイティブで動作させるほか、SnapdragonベースのAndroidスマートフォン内の写真やファイルを待ち時間なく呼び出せるという。Magic Pointer機能では、カーソル位置から直接Geminiを起動し、画像の結合や予定作成といった作業を実行できる。
「HP Googlebook 14」は最大19時間のバッテリー駆動に対応し、Lenovoは「IdeaPad Vibe」を披露した。
端末ラインアップの拡充に伴い、販売網と導入先の拡大も進んでいる。Qualcommによると、Snapdragon搭載PCは現在1万2300店超で販売され、1万3000社超が導入済み、または試験導入中という。
Qualcommは、エージェント型AIの普及は1社や1台の端末だけで実現できるものではなく、メーカー、OS、アプリケーションパートナーの広がりが重要だと説明した。今回公開した新型Surface 2機種はいずれも5Gをオプションでサポートし、10月13日からSurfaceの販売対象国で発売する予定。