写真=MetaのAIエージェント「Muse」

MetaのAIエージェント「Muse」が米国で急速に存在感を高めている。保険料の見直しやサブスク解約、返金申請などを代行し、利用者の支出削減につながるサービスとして話題化している。一方で、外部プラットフォーム上での行動を巡る制約も表面化しており、AmazonはMuseによる注文機能を遮断した。

Business Insiderが22日付で報じたところによると、Metaの最高AI責任者アレクサンダー・ワン氏は、Museについて、利用者の家計支出を確認して削減余地を見つけ、一部の手続きを裏側で直接処理できる点を訴求した。

Museは8日の提供開始以降、保険料の見直し、使っていないサブスクの解約、オンラインでの割引探索、返金申請など、日常の支出を減らすAIエージェントとして紹介されている。ワン氏はX(旧Twitter)で「#MuseMoneyChallenge」を始め、利用者に具体的な節約事例の共有を呼びかけた。

ワン氏は、Museがほぼ即座に「1000ドル相当を浮かせる」とアピールした。ただ、実態としては新たな収入を生み出すというより、既存支出の圧縮や見落としていた返金の回収を支援する性格が強い。

実際、利用者による節約事例も相次いでいる。スタートアップ創業者のジョセフ・ディボイ氏は、Museで自動車保険を比較し直した結果、従来より年間3500ドル(約52万5000円)安いプランを見つけたと明らかにした。

別の利用者は、1年以上解約できずにいた月額制の書籍サービスをMuseが特定し、解約に加えて過去の支払い分の返金も受けられたと説明した。

Coinbaseのプロダクトマネジャー、ニック・プリンス氏は、自動車ディーラーで勧められた追加商品や高額な手数料の回避にMuseが役立ち、1250ドル(約18万7500円)を節約できたと投稿した。このほか、未使用のVerizonギフトカード200ドル相当(約3万円分)をMuseが見つけたとする事例も出ている。

もっとも、話題拡大の初期段階ではMeta社員による投稿も目立った。ワン氏の呼びかけに応じた投稿には、携帯料金の引き下げ、保険の解約、IKEA家具の返品などで節約したとするMeta社員の事例が多く含まれていたという。Metaの広報チームは、これに関するコメント要請にすぐには応じなかったとされる。

市場の反応も早い。Museは米Apple App StoreとGoogle Playのダウンロードランキングで、TikTokやChatGPTを上回って首位に立ったと報じられた。Metaは、WhatsApp、Instagram、Facebookなど同社サービスの利用者数が約39億人に達しているとしている。

Museが注目を集める背景には、既存の生成AIとは異なる役割がある。ChatGPTやAnthropicのClaudeが主に質問への回答や情報提供を担うのに対し、Museは利用者の要望に応じてオンライン上の実務をこなす「秘書型AI」として打ち出されている。

シリコンバレーで最近注目を集めた招待制AIエージェント「Instinct」も、宿泊予約や日用品の注文、歯科予約の代行で関心を集めた。AIエージェントは、対話型ツールから実務を処理するソフトウェアへと役割を広げつつある。

ただし、AIエージェントが実際のサービス上でどこまで行動できるかを巡っては課題も残る。企業側が、AIによる電話発信やオンラインマーケットへの大量アクセスを負担とみなす可能性があるためだ。

実際、Amazonは21日、Museが自社サイトの買い物かごから商品を注文できないようにした。こうした購入手法が同社サイトの利用規約に違反すると判断したと伝えられている。

Museの初期的なヒットが長期的な普及につながるかどうかは、AIが実際に代行できる業務の範囲と、外部プラットフォーム側の受け入れに左右されそうだ。利用者の支出を直接減らせる体感型の機能は強みだが、他社サービス上でどこまで自律的に動けるかは今後の焦点となる。

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