画像=FutureBit

ビットコイン採掘機器メーカーのFutureBitは、ショウジョウバエの脳神経活動を模した実験プロジェクト「HashFly」を公開した。SHA-256計算に神経活動のモデルを応用する試みで、理論上は1TH/s当たり約1Wの効率を見込めるとする一方、現時点では実際の採掘に使える性能には達していない。

Decryptが21日(現地時間)に報じた。HashFlyはWebブラウザ上で動作し、ショウジョウバエの脳のデジタル配線図を基に、簡略化したビットコインのハッシュ計算を実行する。

この実験では、成体の雄のショウジョウバエの脳と中枢神経系をまとめた「MaleCNS v1.0」データセットを基に、2914の神経経路の活動をシミュレーションする。FutureBitは、データセットに含まれる全ニューロンをSHA-256に対応させてシミュレーションする作業も進めており、結果は今後公開する予定としている。

同社は今回の取り組みを、「ハエの脳を基盤にした初の有機ニューロン・ビットコインマイナー」と位置付ける。実際の有機神経細胞にまで拡張できれば、1TH/s当たり約1Wで動作し、最先端の3nm ASICと比べて10倍高効率になると主張している。

もっとも、HashFlyは現段階では実用的な採掘用機器とは言い難い。一般的なコンピュータハードウェア上で動作しており、現在のビットコインネットワークの採掘難易度に対応できるハッシュレートは備えていない。ユーザーが目標値を調整することは可能だが、実際のネットワーク難易度とは大きな開きがある。

比較対象として、FutureBitは自社の5インチASICマイナー「Apollo III」が18TH/sの性能を持つとしている。ビットコイン採掘はSHA-256計算を反復してブロックを追加する仕組みであり、HashFlyの現在の演算規模を商用採掘機と同列に論じるのは難しい。

一方、別プロジェクトの「FlyMiner」は異なるアプローチを取る。13万9255個のショウジョウバエのニューロンと1680万件の結合関係を含むデジタルマップを用い、一般的なビットコイン採掘プログラムの動作タイミングを制御する仕組みだ。

運動制御ニューロンからのシミュレーション信号が設定した閾値に達すると、プログラムがCKPoolの採掘問題に対する解の候補を試行する。処理速度は最大で毎秒70万回としている。

今回の試みは、ASICを軸に高度化してきた採掘産業の本流とは距離があるものの、異色の採掘実験の延長線上に位置付けられる。2021年3月には、ITセキュリティ研究者が1989年発売の任天堂ゲームボーイを採掘機に改造し、毎秒約0.8ハッシュを記録した。

また2023年6月には、ブルックリンの入浴施設が採掘機器の排熱をプールに活用したと明らかにした。同年8月には、米ユタ州のNodal Powerが埋立地のメタンガスで発電し、その一部電力でビットコインを採掘する施設の拡張に向け、1300万ドルを調達した。

FutureBitの実験は、採掘速度そのものを競うというより、採掘の仕組みに別の可能性があるかを検証する色彩が強い。今後、全ニューロンをSHA-256でシミュレーションした結果が公開されれば、生体模倣型計算の効率性を巡る同社の主張にどこまで裏付けが得られるかが焦点になりそうだ。

同社はHashFlyについて、「ハエの脳に基づく初の有機ニューロン・ビットコインマイナーだ。実際の有機ニューロンにスケールできれば、1TH/s当たり約1Wでハッシュ計算が可能になり、最高水準の3nm ASICの10倍の効率になる」と説明している。

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