車両データの活用を巡り、米国でプライバシー論争が広がっている。写真=GM

米国で、自動車が収集する位置情報や運転行動データを誰が管理し、どこまで利用できるのかを巡る議論が強まっている。保険料算定への活用実態が明らかになったことで、コネクテッドカーが新たな監視リスクになりかねないとの懸念も浮上している。

米メディアThe Vergeが13日(現地時間)に報じたところによると、米連邦取引委員会(FTC)は1月、General Motors(GM)とOnStarに対する最終命令を確定した。今後5年間、消費者の位置情報や運転行動データを消費者報告機関に提供することを禁じる内容だ。FTCは、十分な告知や明示的な同意がないままデータを収集・販売していたと指摘している。

FTCの調査では、OnStar Smart Driverが急加速や急ブレーキ、時速80マイル(約128キロメートル)超での走行、夜間運転、シートベルト着用の有無といった情報を収集していたことが分かった。こうしたデータはLexisNexisやVeriskなどに提供され、消費者レポートの作成に利用されたとされる。

一部のドライバーは、保険加入を断られたり、保険料引き上げの通知を受けたりして初めて、自身のデータが提供されていた事実を知ったという。

FTC命令に基づき、GMは今後20年間、一定の例外を除いて、コネクテッドカーのデータを収集・利用・共有する前に利用者の明示的な同意を得なければならない。利用者が自分のデータの写しを請求したり、削除を求めたりできる手段も提供する必要がある。さらに、技術的に対応可能な車両については、詳細な位置情報の収集をオフにできるよう求められる。

こうした問題はGMにとどまらない。Mozilla Foundationは2023年、主要自動車ブランド25社を調査し、すべてを個人情報保護の面で最低評価とした。車両のセンサーやカメラ、マイクに加え、スマートフォンアプリやWebサイトなどを通じて、広範な個人情報が収集され得る点を理由に挙げた。

Consumer Reportsも昨年、米主要自動車メーカーの大半が運転行動データを外部企業と共有していると指摘している。

政策面でも対応の動きが出ている。昨年12月に提出されたDRIVER法案には、車両所有者に対し、車両が生成したデータへのリアルタイムアクセス権と共同管理権限を認める内容が盛り込まれた。位置情報や生体情報、運転行動データの販売を拒否できるようにする狙いもある。

もっとも、データ販売そのものを禁じる内容ではなく、オプトアウト方式に依存している点には、プライバシー保護を重視する側から批判も出ている。

ショーン・ダフィ運輸長官も7月、議会に対し、自動運転機能や無線データ伝送機能を備えない車を選択できる権利を保障する、いわゆる「Freedom Car」構想を提示した。法制化された政策ではなく、議会に検討を求める提案だという。

自動車が「車輪の付いたコンピュータ」へと変わる中、競争の軸は車両性能だけではなくなりつつある。運転データを誰が集め、どこに提供し、利用者がどこまで管理できるのかが、自動車業界の新たな規制論点として浮上している。

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