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OpenAIとAnthropicに資金が集中するなか、グローバル投資会社のInsight Partnersは、特定のAI企業への過度な集中投資には慎重な姿勢を示した。AI市場の成長性は評価しつつも、高い企業価値や投資回収の確度を見極めながら、分散投資を維持する方針だ。

米TechCrunchが9月13日(現地時間)に報じたところによると、Insight Partners共同代表のデビン・パレク氏は最近のカンファレンスで、「長期的に見れば、特定企業に資金を集中させるよりも、分散投資のほうが良い成果を上げてきた」と述べた。

Insight PartnersはOpenAIとAnthropicの両社に出資している。ただ、いずれか1社にファンド資金の大半を振り向ける運用は採っていないという。パレク氏は、一部のファンドが総資金の35〜40%をOpenAIまたはAnthropicの1社に投じる戦略で資金を集めていると説明した。

これに対し、Insight Partnersはこれまで13本のファンドを運用してきた実績を踏まえ、個別ファンドや単一銘柄の短期的な成績ではなく、複数ファンドを通じた長期リターンを重視すると強調した。

パレク氏は、足元だけを見ればAnthropicに25%を投じていれば、より高いリターンを得られた可能性があると認めた。一方で、長年の投資実績を見る限り、過度な集中投資を支持するデータはないとし、多くの出資者も特定企業への配分を過大にすることを望んでいないと説明した。

同氏は、AI市場の高い企業価値にも警戒感を示した。現在のベンチャー投資市場は2021年当時と同程度に過熱しており、その時期の結果も芳しくなかったと指摘した。

一般に、スタートアップは資金調達ラウンドを重ねるにつれて事業データが蓄積し、リスクが低下することで、より高い企業価値が認められやすくなる。だが、最近のAI投資市場ではラウンドの進行が速く、十分な実績が積み上がる前に企業価値だけが急騰しているという。

このためInsight Partnersは、レイターステージで巨額資金を一度に投じるよりも、初期段階で比較的小口の投資を行い、成長が確認できた企業に追加投資する戦略を選好している。

パレク氏は、5億ドル(約750億円)を一括で投じるよりも、まず2000万〜2500万ドル(約30億〜37.5億円)規模で投資し、成果が見えた企業への出資を拡大するほうが、実際の収益に大きく寄与してきたと説明した。

具体例として挙げたのが、サイバーセキュリティ企業のWizだ。初期投資の後も成長に応じて継続的に追加投資し、初回投資だけで終えた場合より大きな収益を確保できたとしている。

同社は投資回収と流動性管理も重視する。パレク氏は、2021〜2023年に多くのベンチャーファンドが巨額の資金を集めた一方、出資者に十分な現金を還元できなかったと指摘した。

他の運用会社に助言する際にも、特定のAI企業の企業価値が今後さらに上昇する可能性があっても、まず元本回収を優先すべきだと強調している。出資者にとって重要なのは、保有資産の評価額そのものではなく、実際に現金化できるかどうかだという。

Insight Partners自身も、企業価値のさらなる上昇期待から売却を先送りした経験があると認めた。ただ、直近2年間で保有持ち分の売却と新規株式公開(IPO)を通じ、出資者に200億ドル超(約3兆円超)を還元したほか、今後も回収を進める方針を明らかにした。

AI企業の株式市場への上場可能性にも言及した。パレク氏は、Anthropicが近く上場申請に動く可能性があるほか、OpenAIも後に続く可能性があるとの見方を示した。

一方で、こうした超大型AI企業の上場が、直ちに市場全体の新たな基準になるわけではないとも述べた。今後6〜8カ月の間に、SpaceX、Anthropic、OpenAIのように企業価値が1兆ドルを超え得る企業が上場する可能性はあるが、より重要なのは、その次の層の企業がどのような評価で市場に入るかだと説明した。

AI技術そのものについては前向きな見方を維持した。オープンソースのAIモデルが悪用される可能性は認めつつも、新薬開発の加速や治療の早期化など、AIがもたらす利点のほうが大きいと評価した。

一方、ロボティクスなどのフィジカルAI分野には相対的に慎重だ。関連企業はなお科学プロジェクトに近い段階にあり、技術の実用化とロボットの大規模導入という2つの不確実性を同時に解消する必要があるためとしている。

Insight Partnersは、AI投資そのものに否定的なわけではない。過熱局面では投資の集中度、企業価値、回収可能性を併せて管理し、初期は小口で入り、勝ち筋が見えた先に資金を厚く配分し、適切なタイミングで現金化する――。同社はそうした規律ある運用で収益の最大化を狙う考えだ。

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