Appleの有線イヤホン「EarPods」が、AirPods主流の市場でも一定の需要を保っている。充電が不要ですぐ使える手軽さに加え、接続の安定性や価格の安さが見直されているためだ。
米ITメディアのEngadgetは13日(現地時間)、EarPodsの利点として、充電やBluetooth接続が不要な点、低価格、通話時の安定した音声品質を挙げた。
AirPodsは発売から10年を迎え、ノイズキャンセリングや健康関連センサー、リアルタイム通訳などの機能を取り込み、単なるワイヤレスイヤホンの枠を超える存在になりつつある。AirPods Pro 3は運動時の心拍数トラッキングに対応し、空間オーディオなど音響機能も強化された。機能面と性能面では、AirPodsが優位との見方が強い。
一方、EarPodsは別の実用性で支持されている。有線のためバッテリー切れの心配がなく、取り出せばすぐに使える。Engadgetは、AirPodsを充電ケースの外に数日置いたままにすると、バッテリー残量低下の表示が出る可能性があると指摘した。EarPodsならこうした管理の手間がなく、Bluetooth機器で起こりがちなペアリングの不具合も避けやすい。
複数人で使い回す場面でも扱いやすい。友人と交代で使ったり、別の機器に挿し替えたりする際も、再接続の手順は不要だ。ビデオ会議や通話を重視する利用者にとっては、内蔵マイクも利点になる。Engadgetは、音声の伝達という点では、Bluetoothオーディオより有線の方が有利だとしている。
対応端子の幅広さも強みだ。AppleはEarPodsを3.5mm、Lightning、USB-Cの3種類で展開している。使う機器に応じて選びやすく、価格負担も比較的小さい。価格は19ドル(約2850円)で、Appleのワイヤレスイヤホンより大幅に安い。最も安いAirPodsでも129ドル(約1万9350円)からとなる。
もっとも、制約がないわけではない。最新のiPhoneにはヘッドホンジャックがなく、LightningまたはUSB-CポートにEarPodsを接続すると、同時に充電できない。ポートを二股に分けるアダプターで対応は可能だが、携帯性や使い勝手は落ちる。
機能面でもAirPodsとの差は大きい。EarPodsはジェスチャー操作や音声コマンド、ノイズキャンセリングには対応していない。Engadgetも、総合的にはAirPodsが多くの面で優れているとの前提で比較している。特にノイズキャンセリングは、AirPodsを選ぶ大きな理由として挙げられた。
それでもEarPodsは、シンプルさが求められる場面では有力な選択肢になり得る。重要な会議でバッテリー切れを避けたい場合や、充電そのものを気にせず使いたい場合には、有線の方が実用的だ。AirPodsを紛失するたびに交換費用がかさむ点も無視できない。Engadgetは「6カ月ごとに紛失したAirPodsの片側を交換するより、19ドルのEarPodsを選ぶ方が合理的な場合がある」と指摘した。
比較の分かれ目は、機能の多さより利用シーンにある。AirPodsは高機能と利便性で優位に立つ一方、EarPodsは充電や接続のストレスなく使える予備用イヤホンとして、引き続き一定の存在感を保っている。ワイヤレスが主流となった現在も、有線イヤホンはなお選択肢として残り続けそうだ。