Appleが「iPhone Duo」で折りたたみスマートフォン市場に踏み出したことを受け、次の展開として小型のフリップ型iPhoneや大画面の折りたたみiPadが有力候補になるとの見方が出ている。米ITメディアのEngadgetは11日(現地時間)、Appleは設計力とソフトウェア面の強みを土台に、折りたたみ製品のラインアップをさらに広げる余地があると論じた。
Engadgetは、注目すべき点はiPhone Duoそのものよりも、その次の一手だと指摘した。iPhone Duoは1999ドル(約29万9850円)の高価格帯ながら、超薄型の筐体と堅牢なヒンジを両立させ、Appleのハード設計力を示したと評価している。Samsung ElectronicsをはじめとするAndroid陣営が先行してきた折りたたみ設計にも、Appleが本格的に対応できることを印象づけたとしている。
その流れで、次の候補として挙がったのが「Z Flip」型の小型フリップモデルだ。Engadgetは、こうした製品はブック型より価格を抑えやすく、使い方も分かりやすいため、より幅広い層に訴求しやすいとみている。小型の折りたたみスマートフォンはこの6年で市場に一定程度定着しており、大型モデルの半額程度で販売される例も多いとした。一般ユーザーの利用シーンでも、Z FlipやMotorola Razrのような製品の方が目立つと分析している。
想定される「iPhone Flip」は、既存のiPhoneをベースに横方向へ折りたたむ形が軸になる。外側には通知確認や簡単な操作、背面カメラを使ったセルフィー撮影に対応する小型ディスプレイが必要になるという。Engadgetは、「iPhone 17」のようなデザインを思い浮かべつつ、従来の折りたたみ携帯電話のように上部を閉じる姿をイメージすればよいと説明した。
この見方は、Appleが進める次期iPhoneのデザイン刷新観測とも重なる。Appleが来年のiPhone 20周年を見据えて大規模な再設計を準備しているとの見方がある一方、Engadgetは、ベゼルレスの曲面ディスプレイだけでは大きな反響を生みにくいと指摘した。これに対し、ポケットや小型バッグにも収まりやすいiPhone Flipは、新たな需要を掘り起こす可能性があるとしている。
一方、大画面の折りたたみ製品としてはiPadが候補に挙がった。ここではハードウェア以上に、ソフトウェアが差別化要因になるとの見方だ。iPhone Duoで示されたマルチタスクや、折りたたみ画面に最適化した機能配置のノウハウをタブレットに広げれば、Windows 11搭載機を展開するASUSやLenovoに対して優位に立てる可能性があるという。Engadgetは、Appleが折りたたみ画面におけるアプリや機能の配置を深く検討してきた形跡があり、従来通りソフトウェア面で優位性を保てると評価した。
折りたたみiPadの形状については、2つの案が示された。1つは、外側にiPad mini級の画面を備え、内側にさらに大きなディスプレイを搭載する方式。もう1つは、コストを考慮して外側ディスプレイを省く案だ。用途としてはノートPC代替を想定しており、完全に開けば通常のiPadとして、半分に折れば上側を表示領域、下側を触覚フィードバック対応のタッチキーボードとして使う構想を挙げた。上側でYouTubeを表示しつつ、下側でSlackと手書きメモを同時に扱うといった使い方も想定している。
サイズについては、16.3インチまで大型化する必要はないとの見方を示した。ASUSとLenovoは16.3インチのOLEDを採用した折りたたみタブレットを投入しているが、Appleはそれほど大きくしなくても成立するという。13インチの折りたたみiPad Proであれば、半分に折った状態でも実用性を確保でき、11インチモデルなら携帯型のメモ端末のような使い方も可能だと予測した。
もっとも、折りたたみiPadの実現には時間がかかる可能性が高いとも指摘した。製品構造を緻密に詰めるには数年単位の開発が必要になるうえ、現時点では需要もまだ大きくないためだ。これに対し、iPhone Flipは事情が異なるという。Engadgetは、Samsung Electronicsがすでに関連市場の土台づくりを進めてきたため、Appleはその枠組みに沿って製品を投入しやすいとみている。Appleの折りたたみ戦略は、実験色の強い大型製品よりも、まずは大衆向けの小型モデルで本格展開が試される可能性がある。