ラリー・エリソン会長(写真:Wikimedia)

Oracleは12日、共同創業者で会長のラリー・エリソン氏による最大75億ドル相当のOracle株売却計画を撤回したと明らかにした。計画に基づく株式売却は一切行っておらず、新たな売却計画もないとしている。

この売却計画は、同社の最新の四半期報告書で明らかになったものだ。エリソン氏は10月末までに最大5000万株のOracle株を売却できる承認を得ていたが、Oracleは公表翌日にこれを取り下げた。

Oracleは撤回の理由を説明していない。11日の終値である1株150ドルを基準にすると、売却枠の規模は約75億ドルに相当する。

市場の関心は、エリソン氏による売却の有無そのものよりも、Oracleの資金繰りやAI投資の負担に移っている。Oracleは11日、データセンター事業の売上改善を示したが、投資家はAIインフラ拡大に伴う収益性への圧力を注視している。

同社株は、利益率の低下懸念を背景に軟調に推移している。

Oracleは足元で、AI企業のデータセンター需要拡大に対応するため、事業構成の転換を進めている。とりわけOpenAIとの大型プロジェクトを推進しており、大規模な計算資源とデータセンター容量の確保を急いでいる。

もっとも、その過程では課題も表面化している。プロジェクトでは許認可や規制を巡る問題があり、資金調達では借り入れと新株発行を併用した。

コスト負担は人員面にも及んでいる。Oracleは今後1年間の退職関連費用として、7億ドルを追加計上する見通しを示した。

前会計年度には数万人規模の人員削減を実施し、退職関連費用として21億ドルを支出した。AI投資の拡大が成長機会を広げる一方で、コスト構造にも影響を及ぼしている格好だ。

エリソン氏は現在、Oracle株の40%を保有する最大の単独株主でもある。直近の委任状資料によると、2025年9月時点で個人借入の担保としてOracle株3億4600万株を差し入れていた。

同氏の資金需要は、Oracle以外の大型案件にも及んでいる。昨年12月には、息子のデービッド・エリソン氏によるWarner Bros. Discovery買収提案に関連し、400億ドル規模の自己資本調達を個人として支援する方針を示した。

エリソン氏は直近の決算説明会のカンファレンスコールには参加しなかったが、社内の意思決定には引き続き関与しているとされる。側近は、同氏が依然として「非常にアクティブだ」と説明している。

Oracleが進めるAIデータセンター事業も、エリソン氏が自ら後押ししてきた分野だ。

Oracleの業績を巡る市場の見方は分かれている。ジム・クレイマー氏は11日の番組で、Oracleの第1四半期決算に関し、受注残を重要な指標として挙げた。

同氏は「約3320億ドル規模の契約済み事業がある」としたうえで、「2年前は990億ドルにすぎなかった。機会の規模は劇的に変わった」と述べた。

さらに、今回の四半期決算発表は平常運転の範囲内だったと評価し、Oracleが新設備を稼働させ、顧客からの資金を受け取りつつ、現在の計画の範囲で支出見通しも管理しているとの見方を示した。

今回の売却計画撤回は、最大株主による需給悪化懸念をひとまず和らげた点で意味がある。ただ、OracleはAIインフラ拡張、借り入れの増加、リストラ費用の拡大が同時進行する局面にある。

このため市場では、OpenAI関連事業の執行ペースや収益性の維持、追加資金調達の有無を引き続き注視する展開となりそうだ。

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