AIモデルの安全性を巡る議論が再び熱を帯びている。AI企業の現役・元関係者からは、人類存亡に関わるリスクに言及する声も上がっており、主要企業の間では開発ペースの見直しを求める空気も広がり始めた。
その象徴的な動きの一つがOpenAIだ。サム・アルトマンCEOは、安全性の確保を優先課題として、年内は新規株式公開(IPO)を実施しない考えを明らかにした。
一方で、こうした「AIリスク論」そのものを懐疑的に見る声もある。Anthropicを巡っては、企業価値拡大やIPOを見据えた「恐怖マーケティング」との見方も浮上している。NVIDIAのジェンスン・フアンCEOも、AIを巡る危険論について、サイバーセキュリティ需要を喚起するための側面があるとの認識を示した。フアン氏はイベントで、最近サイバーセキュリティの話題が増えている背景として業界の新製品投入準備を挙げ、「需要を生み出すうえで、問題提起ほど有効な手段はない」との趣旨を語った。
こうした論争が続くなか、OpenAIの新モデル「GPT-6 Astra」は市場で強い注目を集めた。実際に試したユーザーの評価は総じて高く、3Dゲームやコーディング性能を評価する声が目立った。
もっとも、性能向上と引き換えに新たな課題も指摘されている。OpenAIはAstraへの需要急増を受け、月額200ドル(約3万円)のProプランについて新規受付を一時停止した。Astraは能力面で進化した半面、挙動の監視はこれまで以上に難しくなったとの見方も出ている。
AstraがAI活用のあり方をどう変えるのかにも注目が集まっている。従来のプロンプト設計や業務スキルの前提を見直す必要があるとの指摘もある。
このほか、AIを巡っては国内外企業の動きも相次いだ。Samsung SDSは年次AXカンファレンス「REAL Summit 2026」で、「Multi-Dimensional AIフルスタック」戦略に基づくエンタープライズAI戦略を公開した。
LG AI Researchと国民年金公団は、年金基金運用の効率化に向けたAIを共同開発するため、MOUを締結した。Twelve Labsは、Amazon Bedrockのマネージド知識ベースを通じて、映像埋め込み・検索モデル「Marengo」を提供する。MegazoneSoftは、化粧品ODM企業CNC International向けにGoogle WorkspaceベースのAXシステム構築を完了した。MegazoneCloudは、エンタープライズAI OS「AIR Studio」を基盤に、Hanmi Pharmaceuticalの品質保証業務を自動化するAIエージェント「Hanmi Q-Agent」を構築する。Animorphは、生成AI検索最適化(GEO)向けAPI「querying.ai」を公開した。Younglimwon Soft Labは、従業員主導のAI活用経験をERP製品の高度化につなげる取り組みを加速している。
OpenAIは、投資銀行業務向けの「ChatGPT for Financial Services」も公開した。あわせて、画像生成機能を改良した「ChatGPT Image 2.5」も投入している。
中国では、AI企業Moonshot AIが年末までに年間換算売上高20億ドルを目標に据えたと報じられた。8月時点で把握されている売上高ランレートの約2倍に当たる水準という。
エンタープライズ分野でも各社の動きが続く。SAPのクリスティアン・クラインCEOは、複雑な企業業務プロセスを自動化するAIエージェントの開発に集中し、それを差別化要因にすると表明した。Salesforceは、AIエージェントの構築・管理を支援するエンタープライズAIハーネスとAIコントロールプレーンを公開した。AIエージェント向けCRMを掲げるRightFieldは、シリーズAで4700万ドルを調達した。NVIDIAはPalantirと協業し、自社運用を起点にサプライチェーンへソブリンAIを導入する。Red Hatは、AIプラットフォームの新バージョン「Red Hat AI 3.5」を公開した。事前配布のセキュリティ検証、共有GPU基盤のマルチテナンシー、オブザーバビリティ、エージェント開発機能を強化したとしている。
Amazonは、企業向けAIアシスタント兼AIエージェント基盤「Quick」のmacOS版とWindows版を正式提供した。Metaは、社内コードネーム「Hatch」で開発していた個人向けAIエージェントアプリ「Muse」を米国の消費者向けに投入した。