科学技術情報通信部は4月、通信3社のLTE・5G向け全料金プランに「データ安心オプション(QoS)」を追加料金なしで適用する料金制度の見直し方針を打ち出した。データ容量を使い切った後も、メッセンジャーや地図検索など日常生活に必要な基本サービスを利用できるようにし、あわせて満65歳以上の利用者向けに音声通話とSMSの提供内容も拡充する。
この見直しの実務を担ったク・ヒソン科学技術情報通信部書記官は、Digital Todayのインタビューで、「人工知能の時代に、基本的なデータサービスすら使えない状況があってはならないと考えた」と語った。
ク書記官は現在、通信政策競争課のOTT・プラットフォーム政策チーム長を務める。今回の施策は、同氏が通信利用制度課に在籍していた当時に担当した。
見直しの柱は2つある。1つは、通信3社の全LTE・5Gデータ料金プランにQoSを適用すること。もう1つは、満65歳以上の利用者に対する音声通話とSMSの提供量を拡大することだ。データ容量を使い切った後でも、最低限必要な通信手段を確保し、高齢層の通信アクセスを改善する狙いがある。
ク書記官は昨年から通信3社との協議を続け、事業者との調整を重ねながら見直し案の骨格を固めた。こうした取り組みが評価され、科学技術情報通信部の「第3回特別成果褒賞金制度」で主功績者に選ばれた。副首相兼科学技術情報通信部長官の表彰とともに、1000万ウォンの褒賞金も受け取った。
ク書記官が特に課題として見ていたのは、データ容量を使い切った後の利用環境だった。一部の料金プランでは、基本データ容量消費後も通信速度を落として利用を続けられる「データ安心オプション」が付いていなかった。このため利用者は、追加費用を支払うか、データ利用を大きく制限されるかのいずれかを迫られていた。
2026年1月時点で、通信3社の加入者のうち、こうした安心オプションの対象外だった回線数は717万回線に上った。ク書記官は「データを使い切ると、追加費用を払わない限りインターネット利用が途切れかねない環境だった」と振り返る。その上で、「人工知能・デジタル時代に、KakaoTalkやNaverのような基本サービスを利用できる環境を整えることが第一の目標だった」と述べた。
今回の施策を、単なる料金プラン特典の拡大ではなく「基本通信権」の問題として位置付けたのも、この認識が背景にある。通信はもはや音声通話やSMSにとどまらず、金融、交通、地図、メッセンジャーなど日常生活全般を支える基盤になっている。加入しているプランによって基本的なデータアクセスすら難しくなる状況を解消することが、政府の方向性だという。
見直しにより、通信3社の全LTE・5Gデータ料金プランにデータ安心オプションが適用される。利用者は、提供データ容量を使い切った後も約400Kbpsで通信を継続でき、メッセンジャーや地図検索など基本的なサービスを利用できるようになる。対象は新規に発売される料金プランだけでなく、これまで安心オプションが付いていなかった既存プランにも広がる。
見直し方針にはこのほか、3社合計で約250種類に達していたLTE・5G料金プランを半分以下に整理する案や、2万ウォン台の5G料金プランを用意する案も盛り込まれた。若年層やシニア層が専用プランを探して加入しなくても、年齢に応じた追加特典を自動的に受けられる仕組みも提示した。
もっとも、政策目標が明確だった一方で、実現までの調整は容易ではなかった。通信料金プランは政府が一方的に変更できる領域ではなく、実際に料金設計とサービス提供を担う通信事業者の協力が欠かせないためだ。
ク書記官は「法律や制度を変えるだけでは進まない分野であり、事業者の協力が必要だった」と説明する。「通信3社との協議だけで約1年かかった」という。
なかでも、データ安心オプションの適用範囲拡大を巡っては、政府と事業者の間に温度差があった。安心オプションが広がれば、データ容量を使い切った加入者が追加のデータオプションを契約したり、上位プランへ移行したりする必要性が薄れる可能性がある。利用者メリットの拡大が、事業者の収益性に影響を及ぼしかねないためだ。
QoSの速度水準も協議の焦点だった。科学技術情報通信部は、現行より高い速度も検討したが、協議の末に400Kbpsを最低保障水準とした。まずはメッセンジャーや地図検索などの基本サービスを支障なく使える水準を確保し、今後の状況に応じて段階的な引き上げも可能と判断したという。
ク書記官は、この過程で事業者に対し「基本通信権の保障」という政策の意義を繰り返し説明したと明かす。「人工知能・デジタル時代に、通信は日常生活の基本手段だ」とした上で、「利用者に還元される便益や、通信事業者としての役割と責任など、多角的な観点から議論を続けた」と語った。
同氏は、通信政策の特徴として「国民向けサービス」である点も挙げた。料金やデータ提供量、加入・解約制度の一部が変わるだけでも、利用者の生活や家計の通信費に直接影響する一方、通信会社のコスト構造や収益構造にも変化をもたらすためだ。政府が利用者利便と市場への影響を同時に見極めなければならない理由もそこにあるという。
「通信政策には常に称賛と批判が共存する」とク書記官は話す。「すべての案件を一度、二度と繰り返し見直しながら業務を進めている。国民との接点が大きいサービスを扱うだけに、常に慎重にならざるを得ない」と述べた。
今回の受賞に関連する特別成果褒賞金制度は、優れた成果を上げた公務員に報奨を与え、公職社会の革新を促す制度だ。イ・ジェミョン大統領も昨年12月の閣議で、優れた成果を上げた公務員に相応の報奨が行われるよう指示していた。
科学技術情報通信部は今年2月の第1回を皮切りに、この制度を継続実施している。第3回となる今回は、ク書記官のほか、通信料金プランの現況分析と後続措置の管理を担ったイ・ジョンウン主務官が副功績者として褒賞を受けた。このほか、研究開発予算審議の過程に特化した人工知能を積極活用した成果により、ホ・ジス事務官が主功績者、キム・ミミ課長が副功績者として選ばれた。
ク書記官は今回の受賞について、「自分一人でつくった成果ではない」と強調した。「後輩や同僚、課長、局・室長、次官、副首相まで、皆が一緒に努力した結果として成果につながった」と述べ、「代表して受賞する形になり、むしろ申し訳ない気持ちもある」と語った。
一方で、こうした褒賞制度は公職社会に新たな挑戦を促す効果があるとも評価する。「公務員生活は10年を超えたが、公職の現場で成果を評価し、外部に知らせる機会があること自体が大きな動機付けになる」とした上で、「制度が長く続き、後輩たちも積極的に政策を進めて成果を生み出せる雰囲気が醸成されてほしい」と話した。