米民主党の支持層で暗号資産業界への反発が強まっている。今週、手続き採決を控える暗号資産規制法案「CLARITY法案」を巡っては超党派協議が続くものの、民主党内の世論が上院での票読みを難しくする要因として意識され始めた。
ブロックチェーンメディアのU.Todayが7月31日(現地時間)に報じたところによると、民主党系の調査機関Nornington Pettsが実施した世論調査では、民主党予備選の有権者の84%が、暗号資産業界の支援を受ける候補者に否定的な見方を示した。
調査では、暗号資産産業は石油企業やウォール街の銀行、データセンターなどの主要産業よりも低い評価だった。暗号資産に前向きな民主党議員と、支持基盤の意識とのずれを示す結果といえる。
この調査結果が公表されたのは、CLARITY法案が暗号資産業界にとって重要な立法課題となっている時期だ。同法案は、デジタル資産を巡る規制権限や市場構造の明確化を柱とし、業界の関心を集めてきた。ただ、業界内には、この種の世論調査が実際の政治力学にどこまで影響するかを慎重に見る向きもある。
業界関係者の1人は、暗号資産だけを理由に反対票を投じる有権者は多くないとしたうえで、「この問題で投票行動を起こすのは、むしろ暗号資産支持層だ」との見方を示した。親暗号資産の政治資金団体Fairshakeも、デジタル資産に限らない幅広い選挙争点を通じて有権者に訴求できるとしている。
法案を巡る調整はなお続いている。SkyBridge Capital創業者のアンソニー・スカラムーチ氏は、トム・ティリス、ルベン・ガジェゴの両上院議員が「非常に強力な超党派の倫理条項」を詰めたと明らかにした。そのうえで、ドナルド・トランプ大統領が最終法案に同意する可能性は高いとして、「誰がCLARITYを止められるのか」と語った。
Coinbaseの最高政策責任者ファリヤル・シルザド氏も、法案成立に前向きな見方を示した。同氏は「倫理面の論点は整理され、人事面の問題も解決し、核心部分では超党派の法案が整った」と強調した。
デジタル資産運用会社Grayscaleも、上院議員に対し、8月の休会前に本会議で採決するよう求めた。Grayscaleは書簡で、管轄権の整理や投資家保護、開発者向けのセーフガードといった主要論点は数カ月にわたり議論されてきたとし、法案処理を促した。
一方で、民主党内の反対論はなお根強い。マーク・ワーナー、ルベン・ガジェゴ、アンジェラ・オルスブルックス、コリー・ブッカー、キャサリン・コルテス・マスト、ラファエル・ワーノック、ジョン・ヒッケンルーパーの各上院議員らは最近の共同声明で、共和党側の草案について「基準に達していない」と批判した。
上院銀行委員会の民主党筆頭理事であるエリザベス・ウォーレン上院議員は、暗号資産規制の緩和に最も強く反対する人物の1人とみられている。
市場も、CLARITY法案の最終成立を強気では見ていない。予測市場Polymarketでは、最終段階で賛成60票以上を確保する確率は34%、58票超は48%、55票超は52%とされた。可決に必要な水準まで民主党から十分な賛成票を確保できるかについて、不透明感がなお大きいことを示している。
CLARITY法案の行方は、民主党内の反発をどこまで和らげられるか、そして超党派協議の成果を実際の採決につなげられるかに左右されそうだ。業界側は倫理条項や投資家保護を前面に押し出して成立を促しているが、支持層の世論と議会内の力学の隔たりはなお埋まっていない。