ビットコインは30日、6万4500ドル近辺でもみ合った。米国の6月個人消費支出(PCE)物価指数が市場予想通り鈍化し、米株は反発したものの、暗号資産市場では方向感に乏しい展開が続いた。1ドル=150円換算では約967万5000円となる。
TradingViewによると、ビットコインは同日、前日とほぼ同水準の6万4500ドル近辺で推移した。同時刻の米株式市場では、S&P500種株価指数が1%高、ナスダック総合指数が2.3%高と反発した。
背景には、週初に相場全体の重荷となった半導体株安の一服がある。米市場の取引時間中は、暗号資産相場も比較的落ち着いた値動きとなった。
市場の焦点は6月のPCE物価指数に集まった。6月のPCE物価指数は前年比3.7%上昇と市場予想通りで、5月の4.1%から伸びが鈍化した。前月比では2020年以降で初めて低下し、物価上昇ペースの一服を示した。
PCEは、米連邦準備制度理事会(FRB)が重視するインフレ指標の一つだ。クリーブランド連邦準備銀行は、消費者の選好変化をより速く反映する、包括的な物価指標だと説明している。
米商務省経済分析局(BEA)によると、6月の個人所得の増加には、賃金や資産所得の増加、政府による社会保障給付の拡大が寄与した。一方で、農場所有者の所得減少が一部を相殺したという。
ただ、インフレ鈍化の兆しが確認された後も、市場の受け止めは慎重だった。市場分析会社The Kobeissi LetterはX(旧Twitter)への投稿で、3.7%という水準は2024年10月以降で2番目に高いと指摘し、「米インフレ率は依然としてFRB目標の2.0%を大きく上回っている」との見方を示した。
ジョンズ・ホプキンス大学の経済学者、スティーブ・ハンケも、FRBの目標との乖離を問題視した。
金融政策を巡っては、FRBが前日の会合で政策金利を据え置いたことも材料視された。連邦公開市場委員会(FOMC)内の見解のずれにも関心が集まった。
こうした中、市場では今後の金利決定がビットコイン価格に及ぼす影響は、これまでより小さくなる可能性があるとの見方も出ている。
Bitwiseの最高投資責任者(CIO)、マット・ホーガンは、今後の利下げ・利上げに関する発表がビットコイン相場に与える影響は、過去ほど大きくない可能性があると述べた。ビットコインの歴史の中で金利は、0%近辺から2.5%、再び0%、さらに5%へと大きく動いてきたが、今後は変動幅が縮小する公算が大きいとみている。
その根拠としてホーガンは、Chicago Mercantile Exchange(CME)のFedWatchを基に、市場が織り込む向こう1年の金利変化幅は50ベーシスポイント(bp)程度にとどまるとの見方を挙げた。
また、ホーガンは新FRB議長のケビン・ウォーシュが、前任のジェローム・パウエルとは異なるアプローチを取る可能性があるとも指摘した。ドナルド・トランプ米大統領が、ウォーシュにハト派的な姿勢を期待していることを示唆してきた点にも言及した。
市場では、こうした変化が現実になれば、リスク資産に追い風となる可能性があるとして注視している。
一方、韓国株の急落と重なり、韓国の暗号資産取引は増加基調にある。この日は半導体株への売り圧力がやや後退し、米株とビットコインはそろって落ち着きを取り戻した。
市場の次の焦点は、今回の物価鈍化が一時的な反応にとどまるのか、それともFRB政策への期待と相まって、ビットコインの値動きをさらに落ち着かせるのかに移りつつある。